(ブルームバーグ):テクノロジー業界全体が、人工知能(AI)に伴う巨額コストへの対応に頭を悩ませている。特にオラクルにとっては喫緊の課題だ。OpenAIのような顧客向けに大規模なデータセンターを建設していることから、今後数年間はキャッシュフローが赤字となる見通しだ。
これに対応するため、ラリー・エリソン氏率いる同社は可能な限りコストを削減するとともに、デットファイナンスとエクイティーファイナンスを通じて多額の資金を調達している。10日には異例の戦略を打ち出した。一部のクラウド顧客には半導体を自ら購入してもらうというものだ。
つまり、従来のクラウド事業モデルを覆す内容となる。これまでは事業者がデータセンターを整備し、サーバーを設置する費用を負担。その後、顧客がサーバーを賃借することで、数年かけて投資を回収し、利益を確保する仕組みだった。
今後は「複数」の顧客が高額なAI向け半導体を前払いで購入するか、自ら持ち込むことになるという。これにより、オラクルはキャッシュフローの赤字を一段と拡大させることなく、新規受注に対応できる。クレイ・マグワイク共同最高経営責任者(CEO)がアナリスト向けの決算説明会で述べた。こうした半導体はエヌビディア製が中心で、AI向けデータセンターの構築において最も費用がかさむ部分となることが多い。
これは、たとえ異例の財務戦略を講じてでも、オラクルが引き続きAIインフラ投資を行う姿勢を示すものだ。
RBCキャピタル・マーケッツのリシ・ジャルリア氏は「オラクルには打てる手が数多くある。増資に慎重なのではないかとの懸念もあったが、実際には株式発行での資金調達にも踏み切っている。彼らはAIインフラに本気で取り組んでいると思う」とブルームバーグテレビのインタビューで語った。
オラクルが10日発表した2025年12-26年2月(第3四半期)決算では、クラウドインフラ事業の売上高の伸び加速が示され、株価は時間外取引で約10%急伸した。大規模なデータセンター拡張に伴うコストや運営面への懸念から、昨年9月の高値から時価総額の半分超を失っていた同社にとって、待望の好材料となった。
一方、同社は人員削減を通じたコスト削減策に踏み切る考えも示している。ブルームバーグは先週、同社がコスト削減を目的に全社で数千人規模の人員削減を計画していると報じていた。
決算発表に合わせてオラクルは、AI支援コーディングの進展を背景に、製品開発チームの小規模化を進めるための再編を行っていると明らかにした。この説明は、ジャック・ドーシー氏率いるフィンテック企業ブロックが先に、従業員の約40%削減を発表した際に示した理由とよく似ている。
ブロックのケースでは、経営上の失策などを覆い隠すためにAIを口実にしているのではないかとの批判も出た。ドーシー氏の説明と同様に、業界がオラクルの説明をどこまで額面通りに受け止めるかは、なお見極めが必要だろう。
原題:Oracle Pulls Every Lever in AI Cash Crunch: Tech In Depth(抜粋)
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