(ブルームバーグ):米国とイスラエルによる対イラン戦争の要衝となっているホルムズ海峡周辺で、少なくとも12の船舶クラスターが確認された。海峡周辺で電波妨害(ジャミング)が強まっている可能性を示す兆候だ。
ブルームバーグが集計した追跡データによると、クラスターの中には200隻超が含まれるものもあり、船種は多岐にわたる。中には時速100ノット超で航行しているように表示される船もある。
ジャミングは船舶が報告する速度をゆがめる。2013年建造の石油製品タンカー「アスプルーダ」は9日、ジェベルアリ沖で102.2ノット、時速約190キロメートルに相当する速度で航行していると信号を発した。通常、こうしたタンカーの最高速度は約16ノットだ。
この海上の大動脈は現在、投資家の重要な関心事となっている。紛争の影響でホルムズ海峡が事実上封鎖され、世界のエネルギー市場が混乱。ペルシャ湾岸の産油国は貯蔵能力が逼迫(ひっぱく)する中、原油生産の混乱に直面している。
物流停止を受け、北海ブレント先物は一時1バレル=120ドル近辺まで上昇したが、トランプ米大統領が戦争は近く終結する可能性があると示唆したことを受け、10日には急落した。
スターボード・マリタイム・インテリジェンスの海洋状況アナリスト、マーク・ダグラス氏によれば、「過去48時間で状況は『見通せない』もの」になり、追跡データを使って海峡周辺の船舶の位置を特定するのはほぼ不可能だという。
幾つかのクラスターは特徴的な形状を描いている。アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ近郊で円形に並ぶ船舶や、UAEのルワイス沖で逆Z字形を形成するグループが9日にデータで確認された。
他にもオマーン湾に複数のグループがあり、緊張緩和や確定的な積み込み日程の確保を待ってからホルムズ海峡に入るため、船舶が集団で待機している可能性がある。
電子戦
こうした異様な配置は、ジャミングによって船舶の航法システムが妨害され、実際の位置とは異なる地点に表示されていることを示唆している。軍が電子戦を展開する地政学的緊張の高まりの局面では、こうした行為が急増することが多い。
巨大な船舶群の出現は、この地域での運航に対する船主や用船者の不安をさらに強め得る。紛争の長期化に伴い、業界はすでに戦争保険料の上昇に直面しており、複数の船舶がミサイルや飛翔体の標的となっている。
海事インテリジェンス会社ウィンドワードによると、ジャミングは戦争開始直後から始まり、ペルシャ湾で1100隻超に影響を及ぼした。ウィンドワードのデータでは、ホルムズ海峡の通航は2月26日の120隻に対し、3月4日はわずか5隻にとどまった。
トランプ氏は、ペルシャ湾と世界市場を結ぶホルムズ海峡の海上交通を回復させるため、米国が船舶向け保険の提供や海軍の護衛を行う可能性に言及している。
またCBSに対し、ホルムズ海峡を「引き継ぐことを検討している」と語ったが、具体的にどのような行動を想定しているのかは不明だ。
スターボードのダグラス氏は、衛星利用測位システム(GPS)に言及し、「この海域を航行する船舶は明らかにGPSに頼れない」と指摘し、それが、船舶が攻撃を受けている安全保障上の状況をさらに悪化させていると述べた。
原題:Vast Ship Clusters and Speeding Tankers Point to Hormuz Jamming(抜粋)
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