(ブルームバーグ):ジャック・ドーシー氏率いる米フィンテック企業ブロック(旧社名スクエア)は先週、従業員の40%に相当する約4000人を削減すると発表した。ドーシー氏は、人工知能(AI)が今後の労働生産性を変えることを見据えた動きだと説明した。
しかし、経営上の失策や過剰採用の責任を覆い隠すためにAIを口実にしているのではないかとの批判も出た。ソーシャルメディアに広がった議論への対応に追われたドーシー氏は、ブロックが肥大化していたとの見方を否定した。
実際に責任転嫁だったのかどうかは別として、今回の騒動は、AIがもたらす業務の効率化と、不要となる従業員に及ぶ厳しい影響との間で、企業がいかにバランスを取るかという難題を浮き彫りにしている。
近年、一部の企業は、批判的な報道や倫理的な論争を招くことを恐れ、人員削減を公表する際にこの敏感なテーマに触れるのを避けてきた。だが、ドーシー氏は従業員向けの文書で「何が起きているのか率直に伝える」と述べた。
同氏は、AIツールが企業経営の在り方を根本から変えつつあると説明。その結果、ブロックはより少ない人員でより多くの成果を上げられるようになっており、先延ばしにせず一気に手を打つべきだと考えを示した。
ドーシー氏は今回の決定について、解雇される従業員にとって思いやりのある人道的な選択だと位置付けている。ただ、AI革命の中で解雇される従業員が今後どのようなキャリアを歩めるのかについては、具体的な指針や安心材料をほとんど示さなかった。同氏は、対象となる従業員には手厚い退職金を支給しており、他の組織にとっては迎え入れたい人材だと説明している。
しかし、ドーシー氏の言う通り、これらの職務がAIによって実質的に不要になったのだとすれば、AIプラットフォームや自動化されたコーディングシステムで代替できる仕事のために、なぜ他社が人を雇おうとするのか。
テクノロジー業界のリーダーには、今後の難局への対応を巡り、より具体的な指針が求められているように映る。ドーシー氏がAIについて深く考えてきたことは明らかだが、AIが労働市場にもたらし得るマクロ的な混乱については、なお踏み込んだ見解を示していない。
3月4日にライブ配信されたブロックのIR責任者との質疑応答で、同氏は、AI関連の人員削減が続けば、雇用全体に「暗い結末」をもたらすのではないかと問われた。これに対し、そうはならないとの見方を示し、AIは経済を加速させ、仕事の性質は変わるが、その根本的な必要性が失われるわけではないと述べた。
もっとも、ドーシー氏は「誰にも分からない」とも付け加えた。
「何が起きるのか私にも分からないし、他の誰にも分からないと思う。我々は進みながら考えている。この転換を皆が乗り越えられるよう支援することが重要だ」と語った。
言い換えれば、幸運を祈るしかないということだ。
原題:Dorsey Bobbles Question on Job Loss From AI: Tech In Depth(抜粋)
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