(ブルームバーグ):イラン戦争の激化が世界市場に打撃を与える中、米国株は今年、急落リスクが高まっている。ベテランのストラテジスト、エド・ヤルデニ氏が「急速に動く時代」と表現する現状を踏まえ、見通しを更新した。
ヤルデニ氏は、年内に相場が急落する「メルトダウン」の確率を従来の20%から35%に引き上げた。一方、投資家心理の過熱によってファンダメンタルズ要因以上に相場が上昇する「メルトアップ」の確率は、20%から5%へと大幅に引き下げた。
こうした確率の変更は、原油価格が1バレル=100ドルを超えて上昇し、中東での紛争が長期化してエネルギーコストがさらに押し上げられる可能性に投資家が身構えていることを受けたものだ。景気減速とインフレ加速が同時進行するとの見方が広がる中、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測は既に後退している。
ヤルデニ氏はリポートで「米経済と株式市場は現在、イランと困難な状況の板挟みにある。FRBも同様だ」と指摘。「原油ショックが長引けば、二大責務を抱えるFRBはインフレ上振れリスクと失業率上昇リスクの間で身動きが取れなくなる」と述べた。

安全資産としてドルが選好され、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は戦争開始以降2%近く上昇。S&P500種株価指数先物は週明け9日のアジア時間序盤に1.6%下落した。ヘッジファンドが米株のショートポジションを積み増す中、株式市場への新たな下押し圧力を示した。指標の米10年国債利回りは6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、市場がインフレ高進を織り込んでいることを示唆した。
投資家はFRBによる次回の0.25ポイント利下げ時期の予想を9月へと後ずれさせた。戦争開始前の2月末時点では、7月までの利下げを完全に織り込んでいた。一部の債券オプション取引では、FRBが年内に利下げを実施しないとの見方に賭ける動きも出ている。
ヤルデニ氏はこれまでも市場予測を的中させた実績がある。昨年12月には、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大型ハイテク株について、S&P500に対し実質的にアンダーウエートとするよう推奨した。
もっとも、ヤルデニ氏の基本シナリオは維持されている。生産性の急速な向上に支えられ、力強く持続可能な米経済成長が10年間続くとする「活況の2020年代」の確率は、年末まで60%と見込んでいる。
今後10年間の見通しはさらに明るい。同氏は活況の2020年代が継続する確率を85%とする一方、「1970年代のスタグフレーション再燃」の確率を15%とみている。
「投資家がスタグフレーションを予想し始めれば、弱気相場入りの可能性が高まる」とヤルデニ氏は記した。
原題:Yardeni Raises Odds of Markets Meltdown to 35% on Iran War Risks(抜粋)
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