(ブルームバーグ):トランプ米大統領は、イランに新たな核合意への署名を迫るべく限定的な軍事攻撃を検討していると述べた。ただ攻撃が逆効果となり、中東で新たな不安定化を招く紛争につながる恐れもある。
米国防総省は空母2隻や戦闘機、空中給油機を含む大規模な部隊を同地域に展開しており、トランプ氏はイランに対して限定的、あるいは長期的な作戦を開始する選択肢を手にしている。
だが、イランとの新たな合意で何を求めているのかを巡り、トランプ氏や政権当局者の説明は一貫していない。イラン問題の専門家は、交渉の最中に空爆すれば合意に向けた動きは頓挫しかねず、致命的な報復の連鎖を招く可能性があると指摘する。
中東地域の政府高官は匿名を条件に、米国が攻撃に踏み切ればイランは協議参加を停止する可能性が高いと述べた。
ワシントンのシンクタンク、スティムソン・センターの研究員、バーバラ・スレービン氏は「再び攻撃すれば、イランから外交合意を引き出すことはできない」と指摘。軍事的な威嚇だけで、最終的に実行に移さなかったとしても、「合意への意欲を低下させることになる」と述べた。

トランプ氏は10-15日という期限を示しているが、限定的であろうとなかろうと、新たな空爆が実際に何を達成するのかは不透明だ。
イスラエルと米国は昨年6月、イランの核施設や防空網への大規模な空爆を実施。トランプ氏は当時、「イランの主要な核濃縮施設は完全かつ徹底的に破壊された」と述べていた。
スレービン氏によると、米国とイスラエルはイランの弾道ミサイルを標的にする可能性もあるが、その場合、そうした動きがイランを刺激し、弾道ミサイルを失う前に米国や同盟国の目標に向けて発射するリスクがあるという。
トランプ氏は20日の記者会見で、イラン国民へのメッセージについて問われ「公正な合意を交渉すべきだ。交渉する必要がある」と述べた。
トランプ氏はイエメンやシリア、ナイジェリアでの短期間の空爆や、1月にベネズエラのマドゥロ大統領を拘束した特殊作戦など、迅速な軍事行動を好む姿勢を示してきた。ただイランを攻撃した場合は報復を招き、米国をより長期の紛争に引き込む恐れがある。
ブルームバーグ・エコノミクスの防衛担当ベッカ・ワッサー氏は、歴史的にイランは米国の想定通りには行動しておらず、限定的な攻撃も必ずしも思惑通りに進むとは限らないと指摘する。
「空爆やミサイル攻撃は遠方から実行でき、迅速な成果を得られるように見えるため、高官らにとっては非常に魅力的だ」とワッサー氏。その上で、限定的な作戦が「長期化し、コストのかかる取り組み」に変わることも多いと語った。
原題:Trump’s Threatened Strikes to Compel Iran Deal Risk Backfiring(抜粋)
--取材協力:Eric Martin、Courtney McBride、Becca Wasser、Yasufumi Saito、Tom Fevrier、Rachel Lavin、Jennifer A Dlouhy.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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