(ブルームバーグ):米連邦最高裁は20日、トランプ大統領が打ち出した大規模な関税措置について効力を認めないとの判断を下した。トランプ氏にとっては看板政策の根拠が否定された形で、政権復帰後、司法面での最大の敗北となった。
最高裁判断に関する市場関係者の見方は以下の通り。
◎バンク・オブ・ナッソーのチーフエコノミスト、ウィン・シン氏:
不確実性の局面に入ったと覚悟した方がよい。数週間内に代わりの関税措置について詳細が明らかになるだろう。連邦準備制度理事会(FRB)当局者の多くが金利据え置きを望んでいるのは、これも理由の一つだ。しかし私は景気の軟化を引き続き重視している。いずれは利下げにつながるだろう。
◎BMOキャピタル・マーケッツの米金利担当責任者、イアン・リンジェン氏:
この日の最高裁判断は市場参加者の間で広く想定されていたため、米金利市場への反応が限定的なのは驚きではない。
◎ラボバンクの通貨戦略責任者、ジェーン・フォーリー氏:
ホワイトハウスは関税を押し通す別の方法を見いだすと見込まれてはいるが、その間の返金を巡る懸念が生じる。米国の財政状況が既に弱いこともあり、その懸念が米国債市場を不安にさせ、ドルが動揺する恐れもある。
◎マールボロ・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジェームズ・エイシー氏:
これまでのところ、市場の反応はかなり穏やかだ。市場はどう対応すべきかを判断しかねている。最大の争点は、(関税収入が)払い戻されるかどうかに判断が出るかどうかだった。今回の判断は短期的には財政にマイナスであり、米国債にとっては弱気材料になるはずだ。ただ、実際にどのように機能するのか見通すのは極めて難しい。非常に複雑だ。
◎ラウンドヒル・ファイナンシャルのデーブ・マッツァ最高経営責任者(CEO):
市場は関税の巻き戻しを短期的にはポジティブと捉えるだろう。サプライチェーンの負担が即座に取り除かれ、懸念要因が一つ消えるからだ。しかし関税物語はこれで終わったのではなく、新たな一章が始まった。ここから先は、法的・政策面での揺さぶりが小さくなるどころか、むしろ一段と大きくなる可能性が高い。
◎ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのマネージング・ディレクター、アループ・チャタジー氏:
最高裁判断による安心感は、主に不確実性の低下を通じ、リスク資産に一時的にプラスに作用するだろう。政権は他の法令を通じて大幅な関税設定権限を持っているが、その一部は前例がなく、発動までに時間を要するものもある。政権が他の手段で大半の関税を代替するとの見通しは変わらないが、これは中期的な動きだ。
一方、払い戻し手続きは非常に複雑になり、短期的に成長や消費を大きく押し上げる可能性は低いとみている。これがドル相場のトレンドをいずれの方向にも転換させるとは考えにくい。市場は、経済と労働市場の回復を示す新たなデータに焦点を戻すだろう。米連邦準備制度理事会(FRB)は当面様子見の姿勢を維持し、ドルのさらなる下落は限定的になると考えられる。
◎アネックス・ウェルス・マネジメントのブライアン・ジェイコブセン氏:
1977年国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づくトランプ氏の関税が維持されるとの見方を維持していたのは政権だけのようだ。今回の判断は、トランプ政権が国・地域別やセクター別の関税に軸足を移すことを意味する。これらは発動までに時間がかかる。
原題:US Supreme Court Strikes Down Trump Tariffs: Wall Street Reacts(抜粋)
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--取材協力:Ye Xie.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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