(ブルームバーグ):プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資家が選好してきたソフトウエアセクターについて、人工知能(AI)などのテクノロジーが業界の構造を覆す兆候を見抜けなかったため、企業買収を手がける各社は大きな試練に直面している。米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントの幹部がこう指摘した。
同社のPE共同責任者デービッド・サンバー氏はインタビューで、「ソフトウエア投資という高速道路で、間もなく玉突き事故が起きようとしていることに人々がようやく目を向け始めた。2022年の時点で、見ようとする意思があれば兆候はすべてそこにあった」と述べた。
同氏によると、ここ数週間にわたり市場を揺さぶっているテクノロジー株売りの発端は、約3年前に登場したOpenAIの大規模言語モデル(LLM)「ChatGPT」と金利上昇局面だという。

アンソロピックなどが開発する新たなAIツールが既存のソフトウエア・アズ・ア・サービス(SaaS)を提供する企業を最終的に時代遅れにするとの懸念から、ソフトウエア株を売却する動きが広がっている。
PE業界がSaaS企業に多額の投資を行ってきたこともあり、上場バイアウト会社で構成するS&Pの業界別指数は26年初めから約8%下落。PEファンドはこれまで、主要産業にまたがる忠実な顧客基盤が生み出す安定的な収益に魅力を感じ、SaaS企業の積極的な買い手となってきた。
「リスクマネジメントの失敗」
アポロに04年入社のサンバー氏は、同社のPE事業をマット・ノード氏と共同で率いている。「バイアウト案件の3、4割がソフトウエアという集団思考はなかったか。振り返れば、かなり大きな危険信号だった。今回の局面を振り返ったとき、人々はリスクマネジメントの失敗があったと言うだろう」とサンバー氏は語った。
同氏は、ソフトウエア企業の経済モデルや成長ペースを投資家が再考する中で、評価額の「必要だったリセット」に備える必要があると警鐘を鳴らす。「これらの企業が売却されるときに何が起きるかが分かるだろう。展開には時間がかかる」という。
25年12月31日時点で約9380億ドル(約145兆円)の運用資産を抱えるアポロについて、サンバー氏はPE事業におけるソフトウエアへのエクスポージャーは「ゼロ」で、会社全体でも2%未満にとどまると明らかにした。
アポロの株価は今年約17%下落しているが、同社が主要プレーヤーであるプライベートクレジット市場の過熱懸念も一因だ。
アポロが顧客に最近送付したレターによれば、サンバー氏らPE部門責任者はソフトウエア分野を「避けてきたのは投資およびリスク管理上の判断であり、業界全体を一律に否定するものではない」と説明。
この分野には勝者と敗者が生まれるものの、「レバレッジを用いる株式ファンドにおいて、リスクに見合うリターンが得られるとは判断しなかった」という。ブルームバーグ・ニュースが確認したこの書簡によると、アポロは市場の混乱によって生じる好機を今後も狙う方針。
原題:Apollo Sees Prolonged Period of Software Pain for Private Equity(抜粋)
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