(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)は、中国の経済政策が国内での非効率性や海外への悪影響を招いていると批判し、国内消費を基盤とする成長モデルへの転換を求めた。
IMF理事会は18日、中国経済に関する審査(対中第4条協議)に合わせて公表した声明で「消費主導型の成長モデルへの移行が最優先課題であるべきだ」と強調した。
同審査でIMFスタッフは、中国の経常黒字額が大きく「貿易相手国に悪影響を及ぼしている」と指摘。黒字の一部はインフレ調整後の人民元の下落によって輸出が押し上げられていることに起因するとした。
IMFの表現の一部は、歴代の米政権や他の先進国が長年にわたり示してきた批判と一致している。ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストも昨年11月、中国の拡大する輸出能力は世界経済全体にとって差し引きでマイナスだと指摘していた。
これに対し、IMF理事会の中国代表である張正鑫氏は別の声明で反論。2025年の中国の輸出増加は「主に競争力とイノベーション能力」によるものであったほか、米国の貿易政策に起因する前倒し需要もあったとの見解を示した。

もっとも、理事会全体としては、中国の政策枠組みの大幅な転換を求めた。数週間後には中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の会議が開催され、26年の具体的な経済目標が公表される予定だ。
IMF理事らは「中国の成長モデルの再構築には、文化面および経済政策面での大きな変革が必要だ」と指摘。「マクロ経済政策支援の強化と構造改革を組み合わせた、包括的でより強力な対応」を求めた。
財政刺激策など「より拡張的な」措置に加え、低迷する不動産市場で未完成物件の積み上がりに対応するための中央政府による資金拠出が「消費者信頼感を回復させる」とした。
25年の国内総生産(GDP)成長率は5%と中国政府の公式目標を達成したが、IMFは今年の成長率が4.5%に減速すると予測する。多くのエコノミストは、中国が来月、26年の成長目標を4.5-5%の範囲で設定すると見込んでいる。
「外部不均衡」
今回の年次報告書では、24年版で言及がなかった「外部不均衡」という文言が10回以上使用された。IMFは昨年の中国の経常黒字の対GDP比3.3%と推計。24年の年次報告で示された予測(1.5%)の2倍超となった。張氏はこの推計について「過大にみえる」と述べた。
先週公表された速報値に基づくブルームバーグの試算では、昨年の経常黒字はGDP比3.7%に達している。貿易黒字が過去最高の1兆2000億ドル(約185兆円)に膨らんだことが主因だ。ゴールドマンのエコノミストは、中国の黒字が早ければ3年以内に世界のGDPのほぼ1%に達し、「記録上、いかなる国よりも」最大になると予測している。
IMFは、中期的には黒字が縮小し、30年にはGDP比2.2%になると予想する。それでも推計される適正水準の0.9%を大きく上回る水準だ。
IMFは、貿易加重・インフレ調整後でみた人民元安が中国製品に海外での優位性を与える一方、内需の弱さから輸入は低迷していると示唆した。スタッフの推計では、元が約16%過小評価されているとしている。
非効率性
IMFは、重点分野向けの政府措置による財政コストが23年時点でGDPの約4%に相当すると試算した。「国際比較は困難だ」としつつも、22年の欧州連合(EU)の国家補助は約1.5%と、半分未満だったと指摘した。
スタッフは「正当化されない」産業政策措置を中期的にGDP比約2%縮小すれば、生産性を高め、資源配分のゆがみを是正し、財政コストを削減できると分析した。
IMFはまた、昨年の成長のほぼ3分の1が純輸出によるものだった点を強調した。こうした依存は「過剰能力への懸念を引き起こし、最終的には相手国による貿易措置を招き、中国の輸出をリスクにさらす可能性がある」と警告した。
IMFはさらに、中国での物価下落の継続とそれが経済に与える悪影響に強い懸念を示した。報告書では「デフレーション(deflation)」または「デフレの(deflationary)」という文言が60回以上登場した。
原題:IMF Warns China’s Economic Policies Are Causing Damage to Others(抜粋)
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