(ブルームバーグ):米司法省で反トラスト(独占禁止)政策を統括するアビゲイル・スレーター次官補が12日、辞任した。トランプ政権が大手企業による反競争的行為に対抗する姿勢を弱めるのではないかとの懸念が生じている。
事情に詳しい複数の関係者によると、反トラスト局長のスレーター氏はホワイトハウスからの辞任要求を受け、X(旧ツイッター)への投稿で辞任を発表した。同氏は、米イベント・コンサート企画制作会社ライブ・ネーション・エンターテインメントに対し、チケット販売部門チケットマスターの売却を命じるよう求める同省の訴訟を巡り、3月に裁判を控えていた。

反トラスト局はまた、米メディア大手ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)買収を目指す動画配信サービスNetflixとメディア大手パラマウント・スカイダンスの争奪戦についても、精査の過程にある。
ホワイトハウスはコメント要請に対し司法省に照会するよう促した。同省は、副次官補のオミード・アセフィ氏が反トラスト担当の次官補代行を務めることを確認した。同氏は昨年のスレーター氏の承認前にもこのポストを務めていた。
ボンディ司法長官は声明で「司法省を代表して、消費者保護、アフォーダビリティー(暮らし向き)改善、経済的機会の拡大に取り組む反トラスト局に尽力したスレーター氏の貢献に感謝する」と表明した。
スレーター氏の辞任を受け、ライブ・ネーション株は12日の取引で一時5.8%上昇した。会社分割を求める司法省による訴訟で、決着に至る可能性が高まるとの投資家の観測を示唆した形だ。
上院は昨年3月、バンス副大統領の上院議員時代の顧問を務めたスレーター氏を賛成78、反対19の超党派の賛成多数で承認していた。
司法省では最近、合併審査を巡り意見対立が生じている。米不動産テック企業コンパスによる競合の不動産仲介業エニウェア・リアル・エステート買収について、スレーター氏と反トラスト局の弁護士は詳細審査を勧告していたが、同省は先月、取引完了を認めることに同意した。
また、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)による米ネットワーク機器メーカー、ジュニパー・ネットワークス買収を巡る対立では、司法省幹部がスレーター氏の側近2人を解任。来月には、同省の取引承認が適切だったかどうかを巡る審理が始まる予定だ。
民主党議員やバイデン前政権の当局者は、スレーター氏を辞任に追い込む動きは企業利益やロビイストが反トラスト執行に対して優位に立ちつつある兆候だと批判した。
こうした辞任圧力は不適切ではないかとの指摘について、司法省にコメントを要請したが、これまでのところ返答はない。
原題:DOJ Antitrust Chief Quits After White House Seeks Ouster (3)(抜粋)
--取材協力:Chris Palmeri.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.