ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の王者決定戦スーパーボウルは、ギャンブル会社にとって年間で最大の稼ぎ時とされる。ところが今年は、ビッグゲームが近づくにつれ、業界には暗雲が立ち込めた。

米国で最も人気の高いギャンブルアプリの1つであるファンデュエルを運営するフラッター・エンターテインメントの株価は8日のスーパーボウルを控えた7日まで、8週続落となり、23年ぶりの長期下落を記録した。最大の競合相手であるドラフトキングスの株価も、2023年以来の低水準近辺で推移しており、5年前に付けた過去最高値から60%以上下落している。

シアトル・シーホークス対ニューイングランド・ペイトリオッツという対戦カードは、テイラー・スウィフト効果で話題を集めた昨年の大会と比べると著名人効果が乏しく、これが一因とされる。

ただ、より大きな重圧となっているのは、カルシに代表される予測市場の台頭だ。過去1年で急速に存在感を高め、州レベルのギャンブル規制を回避する形でスポーツに賭ける新たな手段を提供し、従来型のギャンブルアプリを制約してきた規制の枠外で成長している。

 

シチズンズのシニア株式アナリスト、ジョーダン・ベンダー氏は、スーパーボウル週末の予測市場における取引量が過去最高を更新する一方で、従来型スポーツ賭博運営会社での合法的な賭け金総額は前年から2%減少すると見込んでいる。

「スーパーボウルの賭け金総額が減少すると考える大きな理由の1つは、予測市場がその一部を奪っていることだ」とベンダー氏は述べた。

2018年に連邦最高裁が州によるスポーツ賭博の合法化を認めて以降、米国でギャンブル熱が高まり、ギャンブル企業は近年、右肩上がりの成長を享受してきた。スーパーボウルでの賭け金総額は昨年まで、8年連続で増加してきた。

しかし、こうした流れに変化が生じつつある。脅威は、予想外の方向から現れた。米国の予測市場スタートアップ最大手であるカルシは2025年初めまで、連邦規制下の金融取引所という地位を活用し、ポップカルチャー関連の出来事や選挙に連動したニッチな金融契約を提供していた。これを監督する商品先物取引委員会(CFTC)は、スポーツに連動する、いわゆるイベント契約は認められないとの見解を示していた。

シーホークスとペイトリオッツのヘルメット

トランプ氏が米大統領選に勝利した後の25年初め、カルシはスーパーボウルに関する初の賭け商品を提供して様子を探ったが、CFTCはこれを止めなかった。当初の契約は実験的な色合いが強かったものの、その後はスポーツがカルシの取引量の90%以上を占めるようになった。

何人かの業界アナリストはそれでも、既存の米スポーツ賭博運営会社が今年のスーパーボウルで過去最高の収益を上げると予想している。H2ギャンブリング・キャピタルのシニアアナリスト、エド・バーキン氏は、賭け金総額が前年から9%増の17億8000万ドルに達すると見込む。

一方で、スーパーボウルにおける予測市場の賭け金は63億ドルに上り、同イベントの賭け活動における前年比成長の80%を占めると予測している。

従来型のギャンブルアプリは、連邦最高裁の判断直後に急成長した反動もあり、全米での拡大が限界に近づいている。今年、スーパーボウルで合法的な賭博を新たに認めた州は、比較的市場規模の小さいミズーリ州のみだ。

ベンチマークのアナリスト、マイク・ヒッキー氏は「第60回スーパーボウルの見通しは、ギャンブルを合法とする州の拡大を原動力とする成長から、漸進的な成長への移行を反映している。合法化への道筋がある州のほぼすべてで、すでに合法化が実現しているためだ」と、1月29日付の顧客向けリポートに記している。

原題:Gambling Stocks Sag as Prediction Markets Steal Super Bowl Bets(抜粋)

--取材協力:Chris Palmeri.

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