米財務省は29日に発表した半期ごとの外国為替報告書で、中国の人民元について「大幅に過小評価されている」とし、適時かつ秩序立った形で為替レートを上昇させるよう同国に求めた。

同省はその中で、「中国の対外黒字が極めて大きく、拡大していることに加え、為替レートが現在、大幅に過小評価されていることを踏まえると、中国当局がマクロ経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に沿って、人民元の為替レートの適時かつ秩序ある上昇を認めることが重要だ」との分析を示した。

日本に関する項目では、「最近の上昇にもかかわらず、円は数十年ぶりの低水準近辺にとどまっている」と指摘。これは「日本と主要な貿易相手との間の金利差が大きいことに加え、日本の新政権の下で一段と拡張的な財政政策が講じられるとの見通しが主な要因だ」としている。

財務省は、主要な貿易相手国・地域について為替操作国の認定は見送った。一方で、多額の対米貿易黒字や経常収支の大幅黒字などを抱える国・地域を対象とする「監視リスト」に10カ国・地域を指定した。

具体的には、既にリストに掲載済みの中国、日本、韓国、台湾、シンガポール、ベトナム、ドイツ、アイルランド、スイスに、新たにタイを追加した。

2015年の法律に基づく三つの基準のうち、二つを貿易相手国・地域が満たすと、分析強化のために監視リストに追加される。

米財務省が最後に為替操作国の認定をしたのはトランプ政権1期目の19年で、中国が対象となった。この認定は米中の貿易合意の交渉が進む中で5カ月後に解除された。

国際通貨基金(IMF)は最近、中国の輸出急増と過去最高となった貿易黒字について、インフレ調整後ベースでの通貨安が一因になっているとの見解を示した。

民間アナリストの間でも、中国当局による管理の証拠があるとして、人民元は過小評価されているとの分析が示されている。ゴールドマン・サックス・グループは昨年12月、人民元が25%過小評価されているとの推計を示した。

透明性の欠如

米財務省は今回、「中国は主要な貿易相手の中で、為替政策や為替慣行を巡る透明性の相対的な欠如が際立っている」とし、過去数年の報告書で用いてきた表現を踏襲した。

同省はまた、「利用可能な証拠から、中国が人民元の上昇を阻むために、公式ないし非公式の手段を通じて介入していることが将来、示唆される場合」には、中国を為替操作国に認定する用意があるとも指摘した。

最新の報告書は、25年6月までの4四半期を対象とし、「データが入手可能な場合には、一段と最近の動向」もカバーしいている。

ドルは昨年上半期、米資産から外国人投資家の資金が大量に流出するとの懸念を背景に急落した。トランプ政権の保護主義的な政策方針への不安や、成長見通しの悪化で、こうした懸念が強まった。

米財務省は昨年6月に発表した前回の報告書で、各国の通貨政策に関する分析を「強化」するとし、市場介入について「一段と集中的な」監視を行う可能性にも言及していた。

同省はそれ以降、各国・地域との協議に関する声明を複数発表。それらには、金融規制や政府系ファンド(SWF)などを為替レートの誘導に用いないとするさまざまな約束が含まれている。こうした国・地域の多くは現在、監視リストに掲載されている。

29日発表の報告書では、「これらの共同声明はマクロ経済および為替に関する緊密な協議を強化するとともに、国際収支の調整を妨げたり、不公正な競争上の優位を得たりする目的で為替レートを操作しないとの各当事者のコミットメントを再確認するものだ」と説明した。

原題:US Urges China to Let ‘Substantially Undervalued’ Yuan Rise (1)(抜粋)

(背景を追加して更新します)

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