(ブルームバーグ):ソフトバンクグループがデータセンターを運営する米スイッチの買収を見送ったことが分かった。複数の関係者が明らかにした。孫正義社長が進める人工知能(AI)分野のインフラ構築に水を差す可能性がある。
関係者らによれば、孫氏は今月に入り米スイッチの全株取得を検討から外し、月内に予定されていた発表を取りやめた。一方、両社は部分的な出資や提携の可能性について引き続き協議しているという。ソフトバンクGは昨年12月に、スイッチ株の過半を保有する投資会社デジタルブリッジ・グループを30億ドル(約4680億円)で買収すると発表している。
数カ月にわたり孫氏は、負債を含む評価額が約500億ドル(約8兆円)とされるスイッチの買収を模索してきた。同社の省エネ型のデータセンターを手中に収められれば、総額5000億ドル規模のAIインフラ投資プロジェクト「スターゲート」を推し進めやすくなるほか、出資する米OpenAIのデータ処理能力向上にも資するとみていた。
ソフトバンクGの広報担当者はコメントの要請に応じなかった。スイッチとデジタルブリッジの担当者はコメントを控えた。

仮に500億ドルの評価額で買収した場合、ソフトバンクGにとって過去最大規模の取引の一つになるはずだった。同社の一部では、取引規模の大きさに加え、ラスベガスやアトランタなど広範囲に点在するデータセンターの運営を懸念する声があった。対米外国投資委員会(CFIUS)による承認の必要も障壁になる。一方スイッチは、今年中にも600億ドル規模での新規株式公開(IPO)を検討している。
全株取得に向けた両社の交渉が再開する可能性は極めて低いが、孫氏はスイッチに強い関心を持っており、将来なんらかの形で手を組む可能性があると、関係者は明らかにした。同社が所有し、台湾の鴻海精密工業が運営を担うオハイオ州の工場のような協業の枠組みも考えられる。
激しさを増すAI分野の競争において、存在感を高めようと孫氏は積極的な投資姿勢をとってきた。投資資金をねん出するため、昨年10月には保有していたすべての米エヌビディア株を売却。昨年12月に同社はOpenAIに225億ドルを追加出資したほか、11月に米半導体設計アンペア・コンピューティングを65億ドルで取得。10月にはスイスのABBのロボティクス事業を54億ドルで買収すると発表していた。
ソフトバンクGによるAI領域への大規模な投資加速は、同社の信用力に対する懸念材料になる。S&Pグローバル・レーティングは6日付のリポートで、ストレス下でも一定規律で財務管理してきた実績があるものの、保有資産の資金化など適切で迅速な緩和策が取られない場合は、「格付けへの下方圧力が生じることになろう」と指摘した。
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--取材協力:鈴木英樹.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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