カナダの大手機関投資家で公的年金の運用などを手がけるオンタリオ投資管理公社(IMCO)は、トランプ米大統領の政策がドル相場に下押し圧力をかける中、米ドルの代替となり得る資産としてスイス・フランと円、金を挙げた。

IMCOは28日に公表した年次報告書「ワールドビュー」で、トランプ氏が昨年4月2日に新たな関税を発表した後、米国債利回りが上昇する中でもドルは下落しており、投資家がドルを安全資産とみなさなくなっている可能性があると指摘した。また、ドルの最近の値動きは米国がもはや安定したパートナーではないかもしれないとの見方を補強するものだとしている。

報告書は「米国が世界的な不均衡の是正を急ぐ姿勢と、トランプ氏の予測不能かつ型破りな政策運営が重なり、今後数年にわたりドルを押し下げる可能性がある。一方でインフレと国債利回りを押し上げる恐れがある」と分析した。IMCOの広報担当者は、この見解が同公社の通貨運用方針を示すものではないとコメントした。

トランプ氏が27日に「通貨が過度に下落したとは思わない」と発言したのを受け、ドルは昨年の関税発表以来最大の下げを記録し、長期下落局面入りの瀬戸際にあるとの見方が強まった。その後、ベッセント米財務長官が28日のCNBCのインタビューで「強いドル政策」を改めて強調したことで、ドルは一部反発した。

こうした中、一部の機関投資家は資産の逃避先を模索している。欧州の年金基金では、デンマークのアカデミカーペンションやスウェーデンのアレクタが、トランプ氏の政策が信用リスクを高めているとして米国債の保有を削減している。

IMCO(運用資産約860億カナダドル=約9兆7000億円)は、米ドル以外の通貨への分散に加え、人工知能(AI)やエネルギー関連インフラなど戦略的に重要な分野に関連する実物資産への投資も検討対象になり得ると指摘した。

報告書は「『モノ作りにはモノが必要』という考え方のもとで各国が生産能力の構築とサプライチェーンの確保に動く中、資源や素材、エネルギーなどの分野に投資機会が生まれる可能性がある」とした。

 

カナダの年金基金は世界有数の米国資産保有者であり、カナダ・ドルと米ドルの為替レート変動は運用成果に大きく影響する。IMCOの資産は2024年末時点で過半が米国に投資されている。

IMCOは投資家に対し、リスク管理の観点から米国中心の地理的エクスポージャー(投資配分)を見直すよう提案。米国の通商圧力に対応して、カナダが大型インフラ事業に注力していることなども、国内の投資機会を拡大させる可能性があるとした。

原題:Canadian Fund Cites Yen, Gold, Franc as Alternatives to USD (2)(抜粋)

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