(ブルームバーグ):キヤノンは29日、小川一登副社長が社長最高執行責任者(COO)に昇格すると発表した。昨年90歳を迎えた御手洗冨士夫会長兼社長最高経営責任者(CEO)は、会長CEOに就任し、当面トップを続ける考えを示した。
キヤノンは今回の社長交代人事について「経営体制のさらなる強化を図る」としており、3月27日に株主総会などを経て正式決定される。
御手洗氏は同日に都内で開いた会見で、自らの退任時期について「全然決まっていない」とコメント。その上で、「しばらくの間は」会長CEOとして経営方針を決めていき、新社長が「十分成長し、任せられるという時を見極めて退きたい」と述べた。
御手洗氏は、1995年に社長に昇格してから実力主義に基づく人材登用や米国流を取り入れた経営手法で同社を世界的企業に成長させた。財界トップである経団連の会長も務めたが、後継者の育成には苦労してきた。
御手洗氏はこれまで社長職を後任に譲った後、再び自ら社長を兼務することを繰り返していた。2023年の定時株主総会では、御手洗氏の再任に対する賛成比率が50.59%まで落ち込んだこともあった。取締役選任案で全員を男性としたことが影響したとみられ、翌年の総会では賛成率が回復して9割を超えた。
小川氏(67)は1981年に同社に入社。シンガポールや香港など海外が長く、キヤノンUSAの社長を経て現在はグローバル販売戦略推進本部長を務める。御手洗氏によると海外経験が豊かで、キヤノンUSAでは抜群の統率力を発揮。新型コロナウイルス禍や第一次トランプ政権の中で「期待以上の実績を上げた」ことから抜擢したと説明した。
日本企業では長期間にわたって会社を率いた創業者や中興の祖と位置付けられてきた有力経営者が退任するケースがこの数年で相次いでいる。ダイキン工業の経営トップを長く務めた井上礼之氏(90)は、創業100周年の24年に会長職と取締役を退任して名誉会長に就任した。ニデック創業者の永守重信氏(81)も、不正会計疑惑で東京証券取引所から「特別注意銘柄」に指定された25年、後進に会社再生を託して代表取締役グローバルグループ代表を辞任して名誉会長となっている。
(会見での御手洗氏のコメントなど情報を追加して更新します)
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