スイスの資産運用大手GAMホールディングは、ホンダが系列部品メーカーの株式をインド企業に「理解しがたいほど低い価格」で売却したとして説明を求める公開書簡を公表した。

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GAMは三部敏宏社長に宛てた27日付の書簡で、ホンダがユタカ技研の50.65%の支配持ち分を1株当たり1470円でマザーサン・グループに売却したのに対し、マザーサンが他の少数株主に提示している株式公開買い付け(TOB)価格は同3024円だと指摘。支配株主の持ち分には通常、相応のプレミアムが付くべきで、今回の取引は50%のディスカウントに相当すると主張している。

GAMによれば、ユタカ技研はネットキャッシュが422億円、有形純資産が1002億円に上るにもかかわらず、ホンダは同社を約220億円という評価額を基に支配株式を売却した。「実質的に買い手であるマザーサンは、ユタカ技研の全ての工場と事業を引き取る対価としてお金を受け取っている状態に等しい」と批判した。

書簡では、適切な入札が実施されたのか、ユタカ技研の持ち分を実質的にマイナスの価値で売却することについて、ホンダはどのような形で補償を受けるのかといった点を列挙。ホンダの株主には、これらの疑問に対する回答と、売却プロセスに関する透明性を求める権利があると訴えた。

ホンダの広報担当者は書簡の受領を認めた上で、GAMに対しどう回答していくかなどの詳細についてはコメントを控えるとした。TOB価格に関する説明や協議はユタカ技研側で対応すべき事項で、ホンダは利害関係者として直接関与する立場にないと述べた。ユタカ技研からは、現時点でコメントは得られていない。

日本では依然として親子上場が多く残っており、親会社の利益が優先され、子会社の少数株主の利益が損なわれるとの懸念が根強い。東京証券取引所や投資家からの圧力の高まりを受け、親子上場の解消は徐々に進んでいるものの、トヨタ自動車グループによる豊田自動織機のTOB・非公開化など、一部の案件では買収価格が低いとの評価もあり、少数株主保護の在り方が改めて問われている。

GAMは公開書簡で、過去10年にわたり企業統治改革が進展してきた日本で、国際的な評価を受け、世界有数の大手機関投資家を株主に抱えるホンダのような企業が「なぜその受託者責任を、これほど露骨に無視して少数株主を売り渡すのか」と疑問を呈した。

またGAMは、ホンダが2025年9月30日時点で発行済み株式の26%を自己株式として保有している点も問題視。他の自動車メーカーや日本企業と比べても極めて高い水準だとして、即時消却するよう求めた。

さらに、GAMはユタカ技研宛ての別の公開書簡も公開し、マザーサンとの取引やTOB条件の見直しを求めた前回の書簡に対する同社の回答は「全く不十分」だったとした。ユタカ技研の開示によれば取締役会はTOB開始直前に取引を再承認する義務を負っており、GAMは現在の評価額を踏まえ取引の妥当性を再考するよう求めた。

(ホンダのコメントを追加して更新します)

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