トランプ米大統領は27日、ドルが過度に下落したとは考えていないと述べた。これを受けてドルは1日としては昨年4月以来の大幅下落を記録した。アイオワ州で記者団の質問に答えた。

ドルが約4年ぶりの安値水準に下落したことを懸念しているかとの質問に対し、「いいや、素晴らしいと思う」とトランプ氏は発言。「ドルの価値を見て見れば、われわれがどれだけビジネスをしているかを見れば分かる。ドルは好調だ」と話した。

さらに、「私はただ、公正なこととして、自然な水準を見いだしてほしいだけだ」と語った。

ドルについて記者団の質問に答えたトランプ大統領

ドルは、トランプ氏が昨年、広範な国・地域に対する関税措置を打ち出して市場の混乱を招き、米政権の二転三転する政策を嫌気し、米国外の投資家が同国から資金を引き揚げるのではないかとの懸念が広がって以降、最も急激な下落を記録していた。

ブルームバーグ・ドル・スポット指数は、トランプ氏の発言直後にこの日の安値を付けた。他の主要通貨に対して軒並み下落し、同指数は一時1.2%安となった。

ドル安は他の通貨を押し上げる要因にもなっており、円も持ち直している。大統領の発言を受け、円は対ドルで一時1.35%高の1ドル=152円10銭と、昨年10月以来の高値を付けた。また、ユーロは対ドルで一時1.3%上昇し、1ユーロ=1.2081ドルと、21年6月以来の高値となった。

このほか金相場も上昇し、過去最高値を更新した。

ドル下落の一因には、先週末以降の円相場の急激な反発がある。市場では、日本政府・日本銀行が円を下支えするために介入に踏み切る可能性を警戒する動きが広がっていた。

一方でドル安は、予測不能な米政権の政策運営によってもあおられている。トランプ氏がデンマーク自治領グリーンランド領有を示唆するなどの発言を行ったことも含め、一連の動きは欧州の同盟国を動揺させている。

市場関係者によれば、トランプ氏による米連邦準備制度への圧力、米財政見通しや膨張する連邦債務残高への懸念、政治的分極化を巡るリスクも投資家心理を損なっている。

最近のドル安は、米国債利回りが上昇していることや、連邦公開市場委員会(FOMC)が28日の会合で利下げの一時停止を決めるとの見方が広がっているにもかかわらず生じている。いずれも通常であれば通貨を支える要因と受け止められるものだ。

他方、トランプ政権にとって、ドル安は必ずしも不都合ではない可能性がある。ドル安は米製品輸出の競争力を高め、貿易赤字の縮小につながる可能性があるためだ。

日中に言及

トランプ氏はドルの強さを操作することも可能だと示唆。「ヨーヨーのように上げたり下げたりできる」と述べた。ただし、そうしたことは好ましくない結果を招くとし、雇用統計を良く見せるために不要な労働者を雇うことになぞらえた上で、通貨切り下げを図ってきたとして、日本や中国などアジア諸国を批判した。

「中国や日本を見てほしい。彼らは常に円を切り下げたがっていたため、私はかつて徹底的に闘った。分かるだろう、円と人民元だ。彼らはいつも切り下げたがっていた。切り下げ、切り下げ、切り下げだ」と語った。

その上で「私は、不公平だ、切り下げるなと言った。彼らが切り下げれば競争するのが難しくなるからだ。だが彼らはいつも、いやドルは素晴らしいと言って反論してきた」と話した。

原題:Trump Says He’s Not Concerned With Decline of US Dollar (1)、Trump Says He’s Not Concerned With Decline of US Dollar、Trump Isn’t Concerned About Decline in Dollar(抜粋)

(トランプ大統領の発言の動画を追加して更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.