(ブルームバーグ):高市早苗首相が23日召集予定の通常国会冒頭で衆院を解散し、総選挙に踏み切るシナリオが濃厚になってきた。総選挙で勝利すれば、首相の政治的求心力が高まる一方、新年度予算の成立が遅れるとの批判を招くリスクがある。
昨年10月の就任以来、おおむね70%台の高い支持率を維持している高市首相の下で臨む総選挙は、追い風となり、衆院での主導権強化につながる可能性がある。自民党と日本維新の会の連立与党は無所属議員の自民会派入りにより、衆院(定数465)で233議席とかろうじて過半数を確保しているが、参院では少数与党に甘んじている。
冒頭解散の可能性については、読売新聞が9日に政府関係者の情報を基に報道。2月8日か15日に投開票とする案が出ているとしていた。NHKは14日、高市首相が夕方にも、自民党の鈴木俊一幹事長や維新の会の吉村洋文代表と解散・総選挙について会談する方向で調整していると報じた。
2月の投開票となれば、2026年度予算の成立が遅れる可能性が高く、物価高対策よりも政治基盤の強化を優先しているとの批判を招きかねない。毎日新聞によると、高市首相の後ろ盾になっている麻生太郎副総裁は解散に否定的な考えを示しているという。
国民民主党の玉木雄一郎代表は13日の会見で、冒頭解散となれば予算案や予算関連法案の年度内成立を期すとの両党間の合意を自民党側から「破るような結果になりかねない」と指摘。「日本経済や物価高騰で苦しむ国民生活に大きな影響を与える」とし、「経済後回し解散と言わざるを得なくなる」と述べた。
冒頭解散の可能性が報じられた9日以降、市場では高市首相が掲げる「強い経済」や「責任ある積極財政」の推進を織り込む形で、株高・円安・債券安が進んでいる。日経平均株価は史上最高値を更新し、円の対ドル相場は1年半ぶりとなる159円台に下落。債券は超長期債を中心に売られ、利回りが急上昇している。
高市首相は8日のNHKとのインタビューで衆院解散について問われ、物価高対策を含めた経済政策の効果を早く実感してもらうため、今年度補正予算の早期執行に向けた「目の前の課題に懸命に取り組んでいる」と述べた。来年度予算案の早期成立については触れなかった。
維新の吉村代表は11日、高市首相が通常国会冒頭で衆院を解散する検討に入ったとの報道について「それほど驚いたものではない」とし、9日に首相と話した際に「一段ステージが変わったなというやり取りがあった」ことを明らかにした。NHKの報道番組で語った。
総選挙が実施されれば、自民党にとって長年の連立パートナーだった公明党の協力なしに国民の信を問う初の機会となる。公明党は20年余りにわたり、選挙戦で草の根レベルでの組織的な支援を担ってきた。
公明党は昨年10月、「政治とカネ」を巡る基本姿勢の違いなどを理由に自民党との連立政権を解消。高市氏は与党体制の再構築に動かざるを得なくなった。その後、日本維新の会は自民党と連立政権の樹立で合意したが、高市内閣には加わらず、一定の距離を保っている。
一方、昨年7月の参院選では国民民主党や参政党などが大きく議席を伸ばしており、次の選挙で勢力図がどのように変化するのかは見通しにくい面がある。
いずれにしろ総選挙で連立政権が勝利すれば、成長重視・積極財政へとかじを切った高市首相の経済政策は国民の信認を得た形になると、専門家らはみている。
クレディ・アグリコル証券の会田卓司チーフエコノミストは13日のリポートで、衆院選の勝利により「政治的求心力が高まり、高市政権は6月の骨太の方針でこれまでの財政再建優先から、責任ある積極財政と官民連携の成長投資の拡大へ、経済政策の方針を大胆に転換することができるようになるだろう」と指摘している。
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