露天商から「女王」へ 「ベトナムドリーム」を体現した立身出世

チュオン・ミー・ランの物語は、ベトナムという国が歩んだ激動の現代史と見事にリンクしています。
彼女のキャリアの原点は、1980年代後半、ホーチミン市の商業の中心地であるベンタイン市場にありました。

現在は観光地として賑わうこの場所で、若き日のランは家族と共に化粧品やヘアアクセサリーを売る小さな露天商を営んでいました。
当時のベトナムは、ベトナム戦争後の共産主義体制下で経済が破綻し、国際社会から孤立した極度の貧困状態にありました。

しかし、1986年に導入された「ドイモイ(刷新)」政策により、国は市場開放へと舵を切ります。

中国の成功モデルをなぞり、安価な労働力を武器に海外投資を呼び込む。この大きな時代の波を、ランは見逃しませんでした。
ランの家族は不動産業に商機を見出し、安価な土地を次々と取得。

1991年には万盛発(VTP)グループを設立しました。

ホーチミンの一等地にオフィスビル、高級ホテル、レストランを次々と建設し、彼女の帝国は瞬く間に巨大化していきました。

彼女の成功は、まさに「ベトナム・ドリーム」そのものでした。