(ブルームバーグ):暗号資産(仮想通貨)の強気派から初めて上場投資信託(ETF)を購入した投資家まで、通常ならビットコインを買うはずの層が購入に踏み切れずにいる。データがその理由を如実に物語っている。
現時点で約900万BTCが保有者の取得価格を下回る水準にある。これは市場に流通するビットコインの約45%に相当する規模だ。直近安値の約6万2800ドルを基準にすると状況はさらに深刻で、供給量のほぼ半分に当たる約1000万BTCが含み損を抱えた状態にある。調査会社グラスノードのデータで分かった。
ビットコインはここ数週間、直近安値近辺で推移しており、買い手のセンチメントに一時的ではなく、広範な打撃を与えていることを示唆している。
最高値を更新した昨年10月以降の約4カ月で約半値に沈んだビットコインにとって、これは核心的な問題だ。今回の売りは一度限りの急落劇ではない。10万ドル、9万ドル、8万ドルと下値をじりじりと切り下げる展開で、新たな買いの呼び水となってきた激しい売りは見られなかった。
市場ではむしろ、より深刻とも言える現象が起きている。損失の波が広がり、買い手が再び参入する意欲をむしばんでいるのだ。仮想通貨の投資家が注視する主要指標の多くが同じ方向を示しており、それらを総合すると、回復のメカニズム全体が機能不全に陥っている構図が浮かび上がる。
まずは基本的なモメンタム指標に目を向けると、2月最初の22営業日のうち19日間で純損失となったことが、グラスノードのデータで分かった。これは取得価格を上回って売却した保有者よりも、下回る価格で売却した保有者の方が多かったことを意味する。
これは上昇一服の状況ではない。市場参加者が日々、現金確保の必要性に迫られているか、もはや相場の回復を待てないとのあきらめから、損失を確定させている状況だ。
この「降伏」は累積的な影響をもたらす。損失確定の売りが出るたびに、本来であれば将来の買い手になり得た保有者が市場から退場する。また一時的であれ、相場の反発局面では、高値で買った投資家が出口の好機と捉えて一斉に売りに回る。その結果、反発のたびに上値は切り下がり、戻りは短く、浅く、確信を欠いたものになる。
TMXベッタファイのセクター・業界調査責任者を務めるロクサナ・イスラム氏は「ビットコインを取り巻く環境は極めて不透明で、わずかな反発局面は全て流動性の機会として利用されている」と指摘。「より持続的な回復を実現するには一段と明確な買い材料が必要だ。ビットコインが広く普及し始めて以降、初の本格的な相場崩壊であることを踏まえるとなおさらだろう」と述べた。

原題:Bitcoin Break-Even Trap Is Killing Every Rally as Buyers Strike(抜粋)
--取材協力:Isabelle Lee.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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