中国による日本向けの軍事転用の可能性がある品目の輸出規制強化措置を受け、日本の外務省は6日、「決して許容できない」として抗議した。

同省が発表した文書によると、金井正彰アジア大洋州局長が施泳駐日中国大使館次席公使に対し、日本のみを対象にした今回の措置は、「国際的な慣行と大きく異なり、決して許容できず、極めて遺憾」として、撤回を求めた。

中国商務省は6日の声明で、防衛目的で使用される全てのデュアルユース(軍民両用)品の日本向け輸出を即時禁止すると発表。禁止措置は日本の防衛能力を強化し得る全ての物品に適用されるとしているが、詳細な説明はなされていない。

声明には「日本の指導者は最近、台湾を巡り誤った発言を行い、台湾海峡での軍事介入の可能性を示唆した」との報道官談話が盛り込まれた。日本側のこうした発言は「一つの中国」という原則に反し、「悪意があり、極めて深刻で有害な結果をもたらすものだ」とも主張した。

中国政府がデュアルユースと分類している輸出品には、航空宇宙用エンジン部品や黒鉛および関連製品、特定のタングステン・ニッケル・鉄合金など800品目以上が含まれる。

台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に中国は反発を強めており、日中間の緊張が一段と高まっている。中・重希土類(レアアース)も対象との報道もあり、 日本の製造業への影響も懸念されている。7日の日本市場は自動車や電機などを中心に株式が反落。日経平均の下げ幅は一時400円を超えた。

木原稔官房長官は7日午前の定例会見で、日本企業への影響について「内容に不明瞭な点も多いことからコメントを差し控える」とした上で、「内容を精査分析の上、必要な対応をする」と述べた。レアアースが輸出規制に含まれる可能性についても、措置の対象など詳細が分からないとし、明言を避けた。

レアアース

中国政府系の英字紙チャイナ・デイリーはレアアースの一部について、日本向け輸出許可審査を厳格化する方向で検討していると関係者の話として報じた。中国が昨年4月、供給制限を打ち出したサマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの7種類が対象となる見通しだという。

独立行政法人のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、日本は2024年時点でレアアース輸入の約70%を中国に依存している。中国は10年にも、尖閣諸島を巡る対立を受けてレアアース輸出規制を導入。日本の製造業全体に大きな混乱をもたらした経緯がある。

中国は昨年、トランプ米大統領が始めた貿易戦争を受け、レアアースの輸出を世界的に制限した。レアアースおよびそれから製造される磁石は、戦闘機やドローン(無人機)、ミサイルなどの兵器に多用されているほか、スマートフォンや電気自動車(EV)などの生産にも不可欠だ。

外務省は7日、金井アジア大洋州局長が東アジア・太平洋担当のデソンブレ米国務次官補と電話協議を行い、対日輸出規制措置をはじめとした地域情勢について意見交換を行い、日米が緊密に連携していくことを確認したと発表した。

高市首相は昨年11月7日、国会答弁で台湾有事に関連する日本政府の対応に触れたが、中国側はこの発言に激しく反発。高市首相は答弁についての「反省」に言及したものの、発言を撤回しないとの考えを示しているほか、日本の政策は変わっていないと述べている。

米国のアドバイザリー会社、テネオのアナリスト、ジェームズ・ブレイディ氏らは、今回の措置について、中国からの重要な産業資源供給への不安をあおることで、高市首相に譲歩を迫る直接的な圧力をかけるものだと指摘している。

(株価動向を差し替えて更新します)

--取材協力:照喜納明美、堤健太郎、Colum Murphy.

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