(ブルームバーグ):2歳未満の時期に電子端末などのスクリーンに長時間さらされた子どもは、意思決定の遅れや青年期における不安の高まりと関連する脳発達の変化を示すことが、シンガポール政府機関の研究で明らかになった。乳幼児期のデジタル機器への接触を巡る懸念を改めて浮き彫りにする内容だ。
この研究は、シンガポール科学技術研究庁とシンガポール国立大学のチームが実施し、医学誌ランセットのオープンアクセス誌「eバイオメディシン」に掲載された。研究では168人の子どもを10年以上追跡し、3回にわたり脳の画像検査を行った。
研究によると、乳児期にスクリーン視聴が多かった子どもほど、視覚や認知制御を担う「脳ネットワークの成熟が加速」する傾向が確認された。
この変化について研究チームは、「スクリーンがもたらす強い感覚刺激」が影響した可能性があると指摘。一方、3歳や4歳時点のスクリーン視聴時間では、同様の影響は確認されなかったという。「脳ネットワークに変化が見られた」子どもは、8歳半の時点で意思決定に時間がかかり、13歳では不安症状が強かったとされている。
シンガポール科学技術研究庁は30日の発表文で、「これらの知見は、乳児期のスクリーン接触が幼少期をはるかに超えて影響を及ぼし、数年後の脳発達や行動形成に関わる可能性があることを示唆している」と記した。
同じチームが2024年に発表した別の研究では、受動的なスクリーン視聴によって生じる乳幼児の脳の変化について、保護者が頻繁に読み聞かせを行い、直接的な関わりを増やすことで一部を緩和できる可能性が示唆されている。
原題:Singapore Study Links Heavy Infant Screen Time to Teen Anxiety(抜粋)
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