(ブルームバーグ):米国債市場のボラティリティー(変動性)の指標が年間ベースで、金融危機直後の2009年以来で最大の低下に向かっている。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げで景気後退リスクが低下したことが背景にある。
米国債市場の予想変動率を示すICE・BofA MOVE指数は26日時点で約59と、21年10月以来の低水準となった。24年末の約99から低下し、1988年の統計開始以降で最大級の年間低下幅となる見通し。これを上回る落ち込みは2009年のみ。

ボラティリティーはトランプ米大統領による世界的な関税措置で市場が混乱した25年4月に一時上昇したが、その後は債券、為替、株式の各市場で低下傾向をたどっている。7-9月(第3四半期)の国内総生産(GDP)が過去2年で最も高い伸びとなるなど良好な経済指標やFRBによる労働市場の安定化に向けた措置が金融市場の不確実性の低減に寄与した。
ナティクシス・コーポレート&インベストメントバンキングの米金利戦略責任者、ジョン・ブリッグス氏は、相場を大きく動かし得る「問題のあるデータが本当に見られなくなった」と話した。ボラティリティーはこの時期、「非常に低く」なりがちだと指摘した。
米金融当局は労働市場の冷え込みに対応し9月以降3会合連続で利下げを実施した。債券市場では、26年に0.25ポイントの追加利下げが2回織り込まれており、最初の利下げは6月会合で行われるとの見方が強い。
クリスマスと新年の祝日に挟まれた週で市場を動かすような材料が乏しく、取引量の減少とともに市場は落ち着きを見せている。ブリッグス氏はボラティリティーが年明けまで低水準にとどまると予想し、「1月には時に予想外の展開や広く共有されたコンセンサスが試されることもある」と語った。
原題:Treasuries Volatility Heads for Biggest Annual Slump Since 2009(抜粋)
--取材協力:Elizabeth Stanton.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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