(ブルームバーグ):米メディア大手ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)は、パラマウント・スカイダンスによる敵対的買収提案を拒否し、Netflixによる既存の買収合意を支持するよう株主に勧告している。パラマウント案を「劣っており、不十分」と判断したためだ。
ワーナー・ブラザースの取締役会は先に、ストリーミング事業とスタジオ事業をNetflixに売却することで合意した。その後、CBSなどを傘下に持つパラマウントは、会社全体の買収提案をワーナー株主に直接訴えかけている。ワーナー・ブラザースは、Netflixとの取引完了前にCNNやTNTなどのケーブルネットワーク事業を分離し、新会社として切り出す計画だ。
ワーナー側が拒否姿勢を鮮明にしたものの、パラマウントは買収提案を進める意向を改めて表明。デービッド・エリソン最高経営責任者(CEO)は「当社の提案は、WBD株主に対して一段と高い価値、そして取引完了までの明確な道筋を提供するものだ」とした上で、「提案のメリットを明確に理解しているWBD株主から肯定的な反応を得ており、励まされている」と述べた。
ソフトウエア業界の富豪ラリー・エリソン氏とその息子デービッド氏が実質支配するパラマウントは、ハリウッドで屈指の歴史を持つワーナー・ブラザースや、テレビ業界の至宝とされるHBOの獲得をNetflixと競っている。両社の経営陣はいずれも、自社こそ最適な買い手であり、ワーナー・ブラザースが抱える貴重な映像ライブラリーを活用してストリーミング事業を強化できると主張する。
しかし、ワーナー・ブラザースの取締役会はパラマウント案について、資金調達の不透明さや、パラマウント側が取引をいつでも打ち切れるリスクなど、複数の懸念を示した。パラマウントは、ケーブルネットワーク事業を含むワーナー全体を1株当たり30ドルの現金で買収する提案を提示。一方でNetflixは、ワーナーのテレビ・映画スタジオおよびHBO事業を1株当たり27.75ドルで買収することで合意している。
ワーナー・ブラザースの取締役会は、パラマウント案でのエクイティー(株式)部分407億ドルをめぐり、エリソン家から十分な保証が示されていない点をリスクとして挙げた。取締役会は17日付の株主宛て書簡で、エリソン家の拠出が「正体不明で不透明な撤回可能信託に支えられている」とし、パラマウントが提出した資料には「欠落や抜け穴、制約があり、株主や当社を危険にさらす内容だ」と指摘した。
パラマウントの最新提案には、エリソン家による118億ドルのコミットメントのほか、湾岸地域の3つの政府系ファンド(SWF)からの計240億ドル、ニューヨークの投資会社レッドバード・キャピタル・パートナーズからの資金が含まれている。トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏が設立した投資会社アフィニティ・パートナーズは16日、パラマウントとの資金協力のプロセスから撤退した。
ワーナー・ブラザース取締役会はパラマウント案について、「Netflixとの統合案に比べてなお劣る」と表明。取締役会は全会一致でNetflix案を支持し、「パラマウント案は価値が不十分なうえ、多くの重大なリスクとコストを伴う」と述べた。
Netflixも17日午前、ワーナー株主宛ての書簡を出し、自社案が優れている理由を改めて強調したうえで、合意案の承認を求めた。
フォレスターのアナリスト、マイク・プルー氏は「WBDがパラマウント案を正式に拒否しても、状況は何も変わらない」と指摘。「最終判断はWBDの株主に委ねられており、投票は数カ月先だ。パラマウント案について明らかなのは、中東資金をめぐる懸念が強まっていることだ。TikTokへの中国の影響力に警鐘を鳴らしてきた米当局者や規制当局こそ、今回の件も問題視すべきだろう」と語った。
原題:Warner Bros. Urges Investors to Reject ‘Inferior’ Paramount Bid(抜粋)
(パラマウント側の反応とアナリストのコメントを入れて更新します)
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