(ブルームバーグ):イランで9日夜に反政府デモが激化し、当局が鎮圧を図る中で死者数の増加が懸念されている。
同国ではここ数年で最大規模の反政府デモが続く。当局はインターネットや通信網を遮断しているが、ソーシャルメディアを通じて断片的に伝えられた映像は、国内各地で大勢の人々が行進し、反体制スローガンを叫ぶ様子を捉えている。
血に染まった遺体といった生々しい場面もあり、高齢者が抗議活動の中で多数を占めている画像もある。
ファルディス市(テヘランの西50キロほど)で撮影されたという携帯電話の画像からは、建物内に血にまみれた遺体が少なくとも7体あることが分かる。映像では負傷者の頭に包帯を巻く、眼帯を施すといった様子が映っており、少なくとも10人が銃撃で死亡したとの声が聞こえる。ブルームバーグはこれらの画像・映像のいずれについても、独自に検証できていない。
イラン政府系のタスニム通信が10日報じたところによれば、治安部隊は「テログループ指導者」200人近くを拘束し、弾薬や手りゅう弾などを押収した。
同国検事総長は、拘束された者は全員、「神の敵」として罪を負うことになると警告した。この罪は定義が広く、イランではイスラム法の下で死刑となり得る。
米国に拠点を置く人権団体「ヒューマン・ライツ・アクティビスツ・ニュース・エージェンシー」は9日、昨年12月28日に今回の抗議活動が始まって以降、少なくとも65人が死亡し、2311人が拘束されたと指摘した。
デモは通貨危機や生活環境の悪化にテヘランの商人らが抗議したことから始まり、全国に拡大した。
またタイム誌は9日、医師による情報として、テヘランで少なくとも217人のデモ参加者が死亡したと報じた。大半は実弾によるものだという。
イランの週末に当たる木曜日と金曜日(8日、9日)の反政府デモは、レザ・パーレビ元皇太子の呼び掛けを受けて行われた。レザ氏(65)は王制時代のパーレビ元国王の息子で、現在米国に亡命しており、自身を反体制指導者の一人と位置付けている。レザ氏は現地時間10日と11日の午後6時以降に、再び街頭デモを行うよう人々に促した。
同氏は「われわれの目標はもはや単に街頭に繰り出すことではない」とし、「都市の中心部を掌握・維持する準備を進めることが目標だ」とXに投稿。
また、石油・ガス・運輸業界の労働者らに対し、全国規模のストを始めるよう促すとともに、「祖国への帰還を準備している」と明らかにした。
イラン当局による反政府デモへの対応を巡っては、トランプ米大統領がけん制する発言を行い、両国の緊張が高まっている。
こうした中、中東オマーンのバドル外相が10日にテヘランに到着したと、イランのメディアが報じた。イランのアラグチ外相は9日、バドル外相が「どこかからのメッセージ」を携えているかどうかは分からないと述べた。
オマーンは昨年、核を巡るイランと米国の協議を5回仲介した。米国とイスラエルが6月にイランを攻撃してからは協議は停まっている。
タスニム通信によると、イラン軍は最高指導者ハメネイ師に忠誠を示している。軍はハメネイ師の下で「地域における敵の動向を監視し、国家利益と戦略的インフラ、公共財産を断固として守る」と表明した。
米国はこれまでのところ、レザ・パーレビ氏をイラン政府に代わり得る存在として支持することに慎重だが、トランプ大統領はデモ参加者を殺害することがないようイラン当局に繰り返し警告を発している。
トランプ氏は10日には、イランが「恐らくかつてないほど、自由に向かおうとしており、米国は支援する用意がある」と、トゥルース・ソーシャルに投稿した。
原題:Dozens Feared Dead as Iran Hit by Largest Protests in Years (3)(抜粋)
(第5、6段落に検事総長の発言などを、最終段落にトランプ米大統領の投稿内容を追加して更新します)
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