みずほフィナンシャルグループ(FG)は17日、インドの投資銀行アベンダス・キャピタルを買収すると発表した。最大約470億インドルピー(約810億円)を投じて、60%超の株式を取得する。

発表によると、みずほFG傘下のみずほ証券が、アベンダスの主要株主である米KKRなどから2026年7月をめどに持ち分を買い取る。KKR以外の株主からも買い取る方針で、出資比率は61.6-78.3%となる。買収後、アベンダスはみずほ証の連結子会社になる。

みずほFGの木原正裕社長は同日の会見で、今回の買収により「インドで橋頭堡(ほ)を築いていきたい」と述べた。「アベンダスはインドでは非常に高いプレゼンスを持っている。みずほの注力領域を強化できる」と狙いを強調した。

3メガ銀行グループは高い経済成長率が見込めるインド市場に熱い視線を送っている。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三井住友FGが個人向けサービスに軸足を置く一方、みずほFGは企業向け事業の強化によってインドの成長を取り込みたい考えだ。

アベンダスはインドを代表する投資銀行の一つで、インド人の創業者が1999年に設立した。急成長するインド経済を支えてきた現地企業は、大企業であってもリーダーシップの強い起業家や創業家が率いているケースが多い。アベンダスはこうした層に深く食い込んでおり、主に企業の合併・買収(M&A)案件で大きな存在感を持つ。

Photographer: Victor J. Blue/Bloomberg

インドでのビジネスは、現地の人脈や文化に深く根差す「地元の企業」が有利だ。みずほは2023年に米投資銀行のグリーンヒルを買収し、国境をまたいだM&A案件の獲得を強化したものの、インドについては課題もあった。今回のアベンダス買収でインド経済に深く根を張る投資銀行を内製化することができる。

木原社長はアベンダスがインドの起業家と強いつながりを持っていることがメリットになると指摘。グリーンヒル買収により、日米のクロスボーダー案件を多く手掛けるようになってきたと説明した上で、「アベンダスとパートナーシップを作ることで、ミッシングだった国がわれわれの中に入ってきた。ますます地域間連携が楽しみだ」と語った。

一方、アベンダスのゴーラブ・ディーパック最高経営責任者(CEO)は、「日本とインドの間にはディールをつなぐ役割がない。そうなりたい」と述べた。グローバルな大企業取引や投資銀行ビジネスを注力テーマの一つに掲げるみずほFGとしては、アベンダスを通じて顧客である日本企業のインド展開も支援したい考えだ。

複数の関係者によると、KKRは24年にアベンダスの保有株売却を本格的に検討し始め、みずほFGや野村ホールディングス、カーライル・グループなどが入札に応じていた。みずほFGは木原社長が直接インドに渡ってアベンダス幹部と面会するなど1年以上にわたり粘り強く交渉を続け、最終合意に至った。

統合作業が課題

MUFGと三井住友FGもインドでの展開に積極的だが、両社は個人向け事業に注力している。

複数の関係者によると、MUFGはインド2位のノンバンクであるシュリラム・ファイナンスの株式2割を取得する方向で最終調整に入った。取得金額は5000億円を超え、週内にも発表する可能性がある。シュリラムは商用車やトラクター、乗用車向けのローンの他、中小企業向けの融資を柱に都市部から農村部まで幅広く事業を展開している。

三井住友FGはここ数年で7000億円以上を投じ、イエス銀行を持ち分法適用会社にしたほか、ノンバンクのSMFGインディア(旧フラトン・インディアクレジット)を完全子会社化した。個人向け事業を手掛けるインドの商業銀行に出資したのは三井住友FGのみだ。

3メガ銀グループのインド戦略は、違いもはっきり見えてきた。いずれも今後、出資後の統合作業を進め、投資に見合った案件組成や収益効果を得られるかが課題になる。

(記者会見の内容をさらに追加して更新します)

--取材協力:堀内亮.

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