トランプ米大統領は9日、ペンシルベニア州東部マウントポコノで演説し、自身の関税政策のメリットを米国民が「理解し始めている」と主張した。トランプ政権は物価高に苦しむ有権者の不満に直面しており、「アフォーダビリティー(暮らし向き)」改善に向けた政権の取り組みを訴えた形だ。

数カ月ぶりに集会形式のイベントに登壇したトランプ氏は、外国からの輸入品に対する広範な関税措置について、「多くの批判を浴びた」と認めた。野党民主党などは、トランプ政権の関税が物価高を招いていると攻撃の材料にしている。

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Photographer: Will Oliver/EPA/Bloomberg

しかし、トランプ氏はこのイベントで、関税が農家支援を可能にし、製造業者に米国内での工場・データセンター建設を促したと強調。関税は「素晴らしい」とし、「賢明な人々はそれを理解している。他の人たちも学び始めているが、賢明な人たちは本当によく分かっている」と指摘した。

大統領と側近は、経済に関するメッセージをより明確にする必要があると認識しており、これは有権者の経済観が大統領にとって課題となっている現状を暗に認めるものだ。トランプ氏は、「中間選挙で勝つには再びキャンペーンを始める必要がある」とワイルズ大統領首席補佐官から最近言われたことを支持者に明かした。

こうした新たな圧力は、先月行われたバージニア、ニュージャージー両州知事選やニューヨーク市長選で共和党が敗北し、生活費の問題が大きく取り上げられたことで浮き彫りになった。トランプ氏は物価高や雇用伸び悩みへの国民の不満をてこにホワイトハウス返り咲きを果たしたが、今ではバイデン前大統領を悩ませたのと同様の経済的逆風に直面するリスクを抱えている。

ミシガン大学のデータによると、消費者マインドは多少改善したとはいえ、依然として過去最低水準に近く、個人の家計状況に対する見通しは2009年以来最も厳しい。失業率は上昇傾向にあり、ADPリサーチ・インスティテュートのデータによれば、11月の米民間雇用者数は23年の早い時期以来の大幅減となった。

トランプ氏と側近は過去数週間、こうした経済への懸念を和らげようと、新たに農業分野への関税適用除外措置を策定したほか、農家への支援や食肉加工業界の調査にも乗り出している。また、車の価格を引き下げるために燃費基準の緩和を発表し、処方薬の価格引き下げにも取り組んでいる。

だが、こうした取り組みは有権者にアピールするには至っておらず、アフォーダビリティーに関する質問を受けたトランプ氏はいら立ちをあらわにし、バイデン前政権下の方がインフレ率が高かったとして、民主党とメディアによる「でっち上げ」だと非難した経緯がある。

原題:Trump, Seeking Economic Reset, Insists Smart People Back Tariffs(抜粋)

--取材協力:Courtney Subramanian.

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