日本銀行が8日に開いた1月の支店長会議では、金融政策判断で重視する賃上げは2026年度も25年度と同程度が必要と考える企業が多いとの報告が多数あった。日銀が維持している利上げ路線を裏付ける内容と言える。

会議での報告をまとめた「各地域から見た景気の現状」を公表した。企業収益が全体として高い水準を維持し、人手不足感の強い状態も継続していることが背景にある。連合の集計によると、25年の賃上げ率は2年連続で5%超の高水準だった。

一方、関税引き上げによる収益減少や価格転嫁の遅れなどから、中小企業を中心に25年度並みの賃上げは難しいとの声が聞かれるとの報告もあった。

日本銀行本店

会議に合わせて公表した地域経済報告(さくらリポート)では全9地域が景気の総括判断を据え置いた。一部に弱めの動きも見られるが、全ての地域で景気は「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。

日銀は昨年12月の金融政策決定会合で、政策金利を30年ぶりの高水準となる0.75%程度に引き上げた。会見で植田和男総裁は、来年もしっかりした賃上げになる可能性が高いことなどが判断材料になったと説明した。

記者会見した正木一博理事・大阪支店長は利上げの影響について、企業経営者から、「賃金・物価の緩やかな上昇に応じた金利上昇は、理解を得られるようになっていると思う」と指摘。その上で、利上げによって企業や家計の行動に「何か変化が生じているわけではないとみている」と語った。

日中関係

支店長会議では価格設定面に関し、仕入れコストや人件費、物流費などの上昇を販売価格に転嫁する動きが続いているとの報告が多かった。最近の円安進行を受け、価格転嫁を検討しているとの声も一部で聞かれた。一方、消費者の節約志向を背景に、値上げ幅の抑制や低価格商品の強化などで対応する動きもあるという。

中国政府が自国民に日本への渡航自粛を要請していることについては、現時点で「需要面への下押しの影響は一部にとどまっている」との声が多かった。もっとも、先行きに関しては、春節期間にマイナスの影響が一段と拡大することを懸念する声が宿泊業を中心に聞かれているとした。

正木氏によると、関西地域では一部企業からインバウンドの減少に対する懸念の声が出ているものの、中国人以外の旅行客増などで「全体で見た影響は限定的との声も少なからず聞かれている」という。中国による対日輸出規制の強化については、決定から間もないこともあり、「注視していきたい」と述べるにとどめた。

日銀ウオッチャーの大半は利上げペースは半年に1回程度とみており、1月22、23日の会合では政策維持が広く見込まれている。ただ、円安基調が続く為替相場の動向次第では、追加利上げの時期が早まるとの見方もある。8日夕は1ドル=156円台半ばで推移している。

(大阪支店長の会見などを追加して更新しました)

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