(ブルームバーグ):日本銀行が今月にも利上げに踏み切るとの見方が強まっているが、市場では依然としてドル高・円安方向への賭けが優勢だ。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)、野村ホールディングス、RBCキャピタル・マーケッツのトレーダーらによると、投資家のポジションはそうした思惑を反映している。ポジションの指標であるシティグループの円「ペイン」指数はゼロを大きく下回ったままで、円に対する弱気センチメントが根強いことを示している。
投資家は、日銀の植田和男総裁が利上げの可能性を示した後も弱気ポジションを維持している。経済・金融市場に大きなショックがなければ12月に利上げの用意があるとの観測も出ているが、日本の利回りは利上げ後も米国を大きく下回るとの見方が大勢で、これがドルを優位にしている。
バンク・オブ・アメリカのアジア太平洋地域G10外為取引責任者イワン・スタメノビッチ氏は「ポジションはドル・円が年末にかけてじり高となる方向に依然として傾いており、その流れを覆すには日銀による本当のサプライズが必要になるだろう」と述べた。植田総裁のタカ派的な発言でドル・円の行方を巡る議論は起きたが、センチメント自体に大きな変化はなかったという。
円安が一段と進めば、輸入コストを押し上げて既に高止まりしているインフレを加速させる恐れがあり、その影響は大きい。物価高騰による家計負担の軽減を目指す高市早苗首相の取り組みも複雑化しかねない。
片山さつき財務相は、日銀の利上げ後ずれ観測などが一因となった円安を再びけん制したものの、その効果は限定的だ。植田総裁が利上げの可能性を過去最も明確に示唆して以降、今月に入って円は上昇しているものの、その幅は小さい。
ノムラの為替オプション上級トレーダー、サガル・サンブラニ氏は、円のポジションは中期的に日銀の金融政策がハト派的にみえるとの投資家の見方を反映していると指摘。植田総裁の発言後、ドル高・円安に賭けるヘッジファンドのポジションは徐々に縮小したものの、大半がなお健在だとした。
RBCキャピタル・マーケッツの外国為替電子取引(eFX)ディレクター、ロブ・ターナー氏は、11月下旬以降、やや巻き戻しはあるものの、「投機的なポジション」は依然としてドル・円の上昇方向に偏っていると語った。
オプション市場でも似た動きがみられる。米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のデータによると、植田総裁が発言した翌日、ドル・円が上昇すると利益が出るコールオプションの売買高は、下落で利益が出るプットオプションより約40%多かった。
スワップ市場では、12月の0.25ポイント利上げの織り込みが91%と、11月末の58%から大幅に高まっている。
それでもなお、円安方向を見込むコンセンサスは崩れていない。
UBSグループは年末のドル・円予想を1ドル=152円から158円に修正したほか、BofAは2026年初めの160円超えを見込んでいる。
原題:Dollar-Yen Bulls Hold Their Ground Despite Ueda’s Rate-Hike Hint(抜粋)
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