国内損害保険大手3社は今期(2026年3月期)の政策保有株式の売却計画をそれぞれ引き上げた。3社合計では期初計画から約1350億円上振れした1兆5000億円を見込む。

3社が19日、今期の業績見通しを発表した。東京海上ホールディングスは政策株の売却計画を従来の6000億円から6600億円、MS&ADインシュアランスグループホールディングスが同5735億円から5984億円、SOMPOホールディングスが同2000億円から2500億円へとそれぞれ引き上げた。

 

想定と比べて相手先企業からの売却合意が進んだことに加え、株高の影響も押し上げ要因となる。23年に発覚した企業向け保険料の事前調整問題を受け、損保3社は段階的に政策株をすべて売却する方針だ。昨年度は年間で計2兆円の政策株を売却した。損保各社は売却益を海外企業の買収など成長投資につなげている。

政策株の売却について東京海上HDの岡田健司副社長は「金額、タイミングは発行体の意向を踏まえた上で検討している」説明した。「資本政策上、上期に実行されたいという相手先企業が多く、結果として上期に偏重している。最終的なゼロに向けて進ちょくは順調という考えだ」と述べた。

SOMPOの浜田昌宏副社長は「相手先企業の理解もあり、順調に売却が進んでいる」とした上で、政策株の売却益を活用して成長投資と株主還元のバランスを取りながら「さまざまな機会をしっかり捉え、成長投資を続けたい」と語った。

同社は8月に米損保アスペン・インシュアランス・ホールディングスを約5200億円で買収すると発表した。MS&ADも今月17日、傘下の三井住友海上火災保険を通じて、米資産運用会社ベアリングスの株式18%を14億4000万ドル(約2230億円)で取得すると発表している。

MS&ADの田村悟専務は「ベアリングスの買収によって、ピースはいったん埋まった」と述べた。「引き続きアジアを含めて良いものがあればアプローチしていく。ただ、足元で目指していたことはやり切れた」という。

 

また、MS&ADは発行済み株式総数の5%、1350億円を上限に、SOMPOは同2.64%、770億円を上限とする自社株買いの実施をそれぞれ発表した。

損保3社の株価は9月以降、東証株価指数(TOPIX)の騰落率を下回って推移している。いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は「成長投資がどう利益につながっていくかをより見極めていく段階になっている」との見方を示した。

今期の連結純利益見通しは、MS&ADとSOMPOがそれぞれ上方修正した。自然災害の減少による国内外の損保事業の収益改善や海外での資産運用事業の好調が寄与する。SOMPOは海外保険事業の未実現利益の増加などで、期初予想から2050億円引き上げた。

一方、東京海上HDは生命保険子会社での将来の利回り向上を目的に簿価1000億円ほどの保有債券入れ替えに伴い、300億円程度の売却損計上を見込むとして、純利益予想を200億円下方修正した。また、MS&AD傘下の三井住友海上あいおい生命保険でも含み損を抱えた円債を売却し、600億円の損失を計上する見込み。

 

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