電気ガス代補助や自治体交付金
また、お馴染みの電気・ガス代への補助金を、冬季に限り再び支給することも固まりました。高市総理は、「補助を深掘りする」としており、補助額の積み増し額が焦点です。
さらに、重点支援地方交付金として、各自治体にお金を配り、地域の実情に合わせた物価高対策がとれるようにするとしています。具体的には、低所得者向け給付や、プレミアム商品券の発行、さらには「おこめ券」の配布などが想定されています。重点支援地方交付金は、支援の現場である地方に裁量を与えることですばやい実施が期待できるわけですが、その一方、その内容には目新しさはありません。
そもそも夏の参議院選挙で石破前政権が掲げた現金給付が否定された上、食料品に対する消費税減税についても、高市総理が早々と持論を封印したことから、本命不在の対策づくりになった感があります。
本来なら、年末に所得税減税を行うとか、石破政権が提案した一人2万円より大きな規模の給付を検討するなどの余地もあったと思いますが、選挙後の長い政治空白のツケで、こうした検討の時間は無くなった形です。
コメ政策は「価格高騰放置」に転換
今回の対策作りで最も理解に苦しむのが、今の物価高の大きな要因であるコメ価格高騰への対策がなく、逆に、今の高騰した価格を放置しようとしていることです。鈴木新農水大臣の下で、コメ増産方針は事実上撤回され、来年には備蓄米を、逆に、積み増す方向で動いています。
今年9月の全国消費者物価の総合指数は、前年同月比で2.9%の上昇でした。このうちコメ類の押し上げ寄与度は0.39ポイントもあります。これにおにぎりや外食などの値上がりも加えれば、相当なウエイトになります。1年で倍にもなった主食の価格を安定化、つまり下げることに政府が取り組まないというのは、実に奇妙なことです。「おこめ券」を配ったところで、コメ価格が下がるわけではありません。