12日の日本市場は株式が上昇し、東証株価指数(TOPIX)は終値での過去最高値を更新した。国内企業の堅調な決算を受けて投資家心理が上向き、米国の政府機関再開への期待も支えとなった。円は対ドルで2月以来の安値に下落、債券は超長期債が下落(金利は上昇)した。

米議会上院は10日夜、連邦政府の閉鎖を終わらせるためのつなぎ予算案を可決した。あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、週内の米政府機関の閉鎖解除が期待される中、株買いとドル買い・円売りが優勢と述べた。

大和アセットマネジメントの建部和礼チーフストラテジストは、米国で弱い経済指標が出て市場のボラティリティーが高まる可能性もあるが、政府の閉鎖が続くよりは解除の方が望ましく、株式市場は好感していると話していた。

株式

株式は上昇。自動車や商社、銀行など金融株のほか、医薬品や食料品といったディフェンシブ株も含め幅広い銘柄で買いが優勢だった。

日経平均は下げる場面もあった。米ハイテク株安が重しとなり、人工知能(AI)株などが売られた。ソフトバンクグループは前日に第2四半期の大幅増益と株式分割を発表したものの、一時10%下げた。

アセットマネジメントOneの荻原健エグゼクティブストラテジストは、利益確定や持ち高調整の売りが一時的に出るものの、テクノロジー全体への期待は変わっていないと説明。投資家はハイテク銘柄から徐々に視野を広げ始めているとの見方を示した。

為替

円は対ドルで2月以来の水準に下落。米国の政府機関再開への期待や株高を背景にドル買い・円売りが優勢だった。片山さつき財務相の発言を受け、円がやや買い戻される場面もあった。

東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは「リスクセンチメント改善で株は上昇しやすく、円は売られやすい」と話した。ドル・円は「154円50銭付近で何度か利益確定売りに押されたが、下値は切り上がっており、上方向に抜けるのは時間の問題だ」との見方を示した。

片山財務相は参院予算委員会で、円安は急激だとし、経済への影響は「マイナス面が目立ってきていることは否定できない」と市場をけん制した。これを受けて円は一時154円50銭台に戻したが、みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは「何か材料が出てくれば155円台に乗せていく動きになる」とみている。

債券

債券は超長期債が下落。財政拡張への懸念から前日の30年利付国債入札が弱い結果となって売られた流れが続いた。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、高市政権の財政拡張に対する懸念に加え、入札が続くことから超長期金利は上昇基調をたどると予想。新発30年債利回りは年内に3.5%まで上昇するとみている。

13日行われる5年債入札については「高市早苗政権が金融緩和志向を強める中、市場が想定する利上げ到達金利が上昇する状況にはなく、不安は少ない」と述べた。

高市首相は基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化目標の達成状況を毎年度の予算編成などで確認する従来の方法を取り下げると表明。財政拡張懸念から30年債入札は低調な結果に終わった。

日本銀行は午前10時10分に定例の国債買い入れオペを通知。対象は残存期間1年超3年以下、5年超10年以下、10年超25年以下で、買い入れ額はいずれも据え置いた。

新発国債利回り(午後3時時点)

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:深瀬敦子、堤健太郎.

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