現行の対策施策パッケージは2023年の大被害による対策方針を踏まえて策定

現在の課題認識と同様に、クマによる人身被害や出没に関する事案が全国で多数発生している状況を踏まえて2020年10月に連絡会議が設置された。

その後、環境省は2021年3月、地方公共団体の鳥獣行政担当者を主な対象者と想定して、それまでに蓄積されたデータを踏まえ、14年ぶりに「クマ類の出没対応マニュアル-改定版-」を取りまとめた。

2022年3月には、都道府県が策定する特定鳥獣保護管理計画の作成を技術的に支援するための「特定鳥獣保護・管理計画作成のためのガイドライン(クマ類編)」を改定する等、現場支援の対応を進めた。

2023年度も、当時過去最多の人身被害を記録する等、甚大な被害が発生していた。

そこで、国民への呼びかけ(環境大臣談話)や出没地域への専門家の派遣(専門家緊急派遣事業)、補正予算措置(緊急出没対応事業)等を行うとともに、2024年2月、クマの地域個体群の存続を担保しつつ人身被害対策を強化することを基本的な考え方とする「クマ類による被害防止に向けた対策方針~クマとの軋轢の低減に向けた、人とクマのすみ分けの推進~」(以下、対策方針)を取りまとめた。

そして同年4月、関係5省庁が連携し、対策方針を踏まえた、①人の生活圏への出没防止、②出没時の緊急対応、③個体群管理の強化、④人材育成・確保、⑤生息環境の保全・整備)の5本柱からなる現行の「対策施策パッケージ」を策定した。

市町村長の判断で実施できる緊急銃猟制度もこのパッケージの一環として本年9月、開始した。

11月7日13時30分現在、実施判断を行ったのは18件、うち発砲まで至ったのは14件(秋田県4件、新潟県・富山県各2件、宮城県・群馬県・北海道・福井県・石川県・山形県各1件)、発砲に至らなかったのは4件(山形県2件、富山県・北海道各1件)となっている。