(ブルームバーグ):台湾有事が日本の集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得るとした高市早苗首相の発言に関し、中国側が日本政府に抗議したことが分かった。日本側は答弁の趣旨と政府の立場について説明したという。
木原稔官房長官が11日の記者会見で明らかにした。木原氏は台湾海峡の平和と安定が重要であり、「台湾を巡る問題が対話により平和的に解決されることを希望するというのが、わが国政府の一貫した立場だ」と語った。
その上で、日本政府の台湾に関する立場は1972年の日中共同声明の通りで「変更はない」と強調した。同声明は、台湾が中国の領土の「不可分の一部」とする中国政府の立場について日本政府が「十分理解し、尊重」すると明記している。
高市首相は7日の衆院予算委員会で、台湾有事に関し存立危機事態にあたる具体例を問われ、戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、存立危機事態になりうるケースだと考えると答弁した。中国外務省の林剣報道官は10日の記者会見で、同発言について「台湾海峡への武力介入の可能性を示唆している」と批判した。
高市首相発言を巡っては中国の薛剣駐大阪総領事がX(旧ツイッター)で批判する投稿を行ったが、表現が不適切として日本側が抗議する事態にもなっていた。
日中関係への影響も懸念される中、木原氏は先の首脳会談で戦略的互恵関係の包括的推進などを確認していると指摘。日本政府としては中国との意思疎通を強化し、双方の努力で課題と懸案を減らしていくとの方針だと語った。
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