(ブルームバーグ):風力発電の業界団体である世界風力会議(GWEC)は、日本の洋上風力発電の入札制度について、より幅広い意見の反映と価格設定基準の改善が必要だと指摘した。事業者の撤退やプロジェクトの遅延が相次いでおり、抜本的に見直すよう提言した。
現在、経済産業省では入札制度の見直しが議論されている。GWECは10日公表した提言書では、入札プロセスには「洋上風力開発の最前線で実務経験を持つ参加者」を含めるべきだと推奨した。経産省の委員会での審査は、行政と学識経験者が中心で実務者の知見やノウハウが反映されにくいと指摘した。
また、GWECは過度な競争や非現実的な入札を防ぐため、入札価格設定の基準変更も提言した。価格の上限は一般的な利益水準を超える水準とし、下限は損益分岐点に近い水準に設定すべきだとした。長期的には、入札参加者の不確実性を最小化するため、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による立地調査の精度向上を求めている。
洋上風力発電は世界的な逆風に見舞われている。日本では8月、三菱商事がインフレによるコスト増と先行き不透明を理由に、秋田・千葉県の3海域の洋上風力発電事業から撤退すると発表した。米国ではトランプ大統領の環境政策からの後退もプロジェクトの妨げとなった。
洋上風力発電プロジェクトが足踏みすれば、2040年度までに再生可能エネルギーの割合を40%まで引き上げるという日本政府の掲げる目標に支障をきたす恐れがある。このうち、風力発電は4-8%とする方針を示している。
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.