米国の新たな制裁の影響で、主要な買い手がロシア産原油の購入を控え、海上輸送される原油の出荷量は、2024年1月以来の大幅な落ち込みを記録した。船積みより陸揚げが難しく、洋上に滞留する原油が急増している。

ブルームバーグが集計した船舶追跡データによると、ロシア港湾からの11月2日までの4週間平均出荷量は日量358万バレルと、10月26日までの4週間(改定値)から約19万バレル減った。変動の大きい週次データより4週平均の方が基調をはっきり反映するが、週次データも減少を示している。

ロシアの原油収入は8月以来の低水準に落ち込んだ。同国の二大石油輸出企業ロスネフチとルクオイルとの取引禁止が米国の対ロ制裁に盛り込まれたためだ。中国とインド、トルコの石油精製業者は制裁対象となった海上輸送原油の購入を一時停止し、少なくとも当面は代わりの供給確保に動いている。

ロシアの輸出業者は原油の船積みを続けているが、石油精製業者は貯蔵タンクへの受け入れに消極的だ。洋上に滞留するロシア産原油は9月初めから8%(2700万バレル)増加し、3億8000万バレルを上回った。

ロシアの海上原油輸出の95%余りが中国とインド、トルコ向けで、これら3カ国の購入が著しく減少すれば、代替輸出先による埋め合わせはほぼ不可能だろう。たとえ原油を洋上保管せざるを得なくても、ロシアはできる限り船積みを続けたいと考える可能性が高い。洋上に滞留する原油量は、今回の制裁の効果を測る意味で、ますます重要な指標になりそうだ。

原題:Russia’s Crude Deliveries Plunge as US Sanctions Begin to Bite(抜粋)

--取材協力:Sherry Su、Prejula Prem.

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