シンガポールは食料持続可能性の従来目標を廃止し、特定の食品の種類に関する新たな目標に切り替える。限られた土地と高い運営コストに直面する国内生産者の状況を踏まえた決定だ。

2019年に打ち出された「30 by 30」政策では、30年までに国民の栄養ニーズの30%を国内生産で賄うことを目指していた。

新たな目標では、国内の農家が35年までに食物繊維の消費量の20%、タンパク質については30%を供給することを目指す。食物繊維には新鮮な葉物野菜や果実野菜、もやし、きのこ類、タンパク質には卵や魚介類が含まれる。

フー持続可能性・環境相は4日、アジア太平洋農業食品イノベーション・サミットで、「わが国の農業食品セクターは、他国の同セクターと同様に、サプライチェーンの混乱、エネルギーや人件費に対するインフレ圧力、より厳しい資金調達環境といった逆風に直面している」と語った。こうした中、新たなスタートアップが登場する一方で、農場開発の遅れや撤退も見られていると付け加えた。

当局は、国内食料生産コストを下げるため、気候変動に強い環境制御型の国有屋内施設を利用し、複数の農業事業者や企業が入居できるマルチテナント型施設の試験導入を検討している。

さらに政府は、国内生産力を補完する形で、家禽(かきん)類の輸入先多様化やコメの備蓄も進めていく方針だ。

原題:Singapore Sets New Food Production Goal, Drops 2030 Target (1)(抜粋)

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