トランプ米大統領は、中国からの輸入品に対する合成麻薬フェンタニル関連の関税を引き下げるとともに、中国製品に課している上乗せ関税の一部凍結を継続すると発表した。中国の習近平国家主席との間で合意した包括的な通商協定の要点を正式に文書化した。

これら措置は4日に発出された2件の大統領令に盛り込まれており、10日に発効する。フェンタニル関連の関税率は10%と、従来の20%から半減させる。また、トランプ氏は上乗せ関税を34%から10%に引き下げる休戦措置を1年間延長する。

今回の決定は10月に韓国で行われた米中首脳会談を受けたものだ。関税や輸出規制の応酬を経て、トランプ氏と習主席は会談で米中貿易の安定化を目指した。

トランプ氏は関税を巡る休戦延長を決めた理由として、中国がレアアース(希土類)など重要鉱物の輸出規制を撤廃し、米半導体メーカーへの報復措置に対処すると約束した点を挙げた。

トランプ氏によると、中国は「大豆やソルガム(モロコシ)、木材など米経済および国民生活の安定にとって不可欠な米国産農産物の購入」を約束。米農産物の「広範な品目」に対する関税を停止するという。

フェンタニルについては、その原料も含め中国による密輸取り締まり強化が前進している点を評価した。

大統領令でトランプ氏は「中国は、特定の化学品について北米向け出荷を停止し、他の一部化学品の全世界向け輸出を厳格に管理するなど、米国へのフェンタニル流入を阻止する上で重要な措置を講じることを約束した」と指摘した。

トランプ氏はまた、国務省と国土安全保障省がこの合意の履行状況を引き続き監視すると表明。「中国が今回の大統領令第1条に記載された約束を履行しない場合、必要に応じてこの命令を修正する可能性がある」と説明した。

原題:Trump Formalizes Fentanyl, Reciprocal Tariff Cuts in Xi Deal (1)(抜粋)

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