(ブルームバーグ):米株式相場は上昇の一途をたどるとする投資家の揺るぎない自信に対し、ウォール街でも有数の強気派の1人が懸念を募らせている。コントラリアン(逆張り投資家)の視点に立てば、過度に楽観的なムードが警戒すべきサインになっているという。
「強気派が多過ぎる」と、ヤルデニ・リサーチの創業者で常に強気な姿勢で知られるエド・ヤルデニ氏は語る。株式市場は過去半年間、数々の警告をものともせず大幅上昇を続けてきた。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が12月の追加利下げに慎重な姿勢を示したにもかかわらず、投資家はほとんど意に介していない。こうした状況を受け、ヤルデニ氏は年末の相場上昇予想に疑問を抱きつつある。
S&P500種株価指数は4月初め以降に37%もの大幅上昇となっている。ブルームバーグの集計によれば、これは1950年以降わずか5回しかない急上昇だ。現在は11月で、過去30年間にわたり最も好成績を記録してきた月でもある。
だがヤルデニ氏は、S&P500種が12月終盤までにピークから最大5%下落する可能性があると予想する。市場心理やテクニカル指標が過熱気味の様子であることがその根拠だ。
ヤルデニ氏は「この相場上昇がすでに先走り過ぎていないか、年末まで持続可能なのかが極めて重要な問題だ」と電話インタビューで指摘。「市場の広がりに乏しく、たった一つ予期せぬ出来事があれば株価は高値から押し下げられかねない。ただ、年末にかけてはトレーダーが通常楽観的になるため、それも容易ではないかもしれない」と語った。
一つの指標に基づけば、投資家の強気度はこの1年で最も高まっている。ヤルデニ・リサーチの分析によると、10月29日までの週に実施されたインベスターズ・インテリジェンスのニュースレター執筆者を対象とした調査では、強気(ブル)と弱気(ベア)の比率が4.27に跳ね上がった。これは過去の経験則上で投資家心理が過熱していることを示す分岐点とされる4.00を上回っている。
また、楽観ムードの高まりを示す別の指標として、米個人投資家協会(AAII)の個人投資家向け週間調査でも強気の見方が示されている。ここでは、強気姿勢を示す回答の割合が過去平均の37.5%を7週間中5回上回った。
ヤルデニ氏は4月の相場底打ち以降、ウォール街で最も強気なアナリストの1人だっただけに、同氏の慎重姿勢は注目に値する。ヤルデニ氏が掲げる2025年末のS&P500種の目標値は7000で、これは10月31日の終値をおよそ2.3%上回る水準に相当する。この目標値はブルームバーグが集計したストラテジスト20人余りの予測中、最も高い水準に近い。
S&P500種が約17兆ドル(約2623兆円)もの反発を遂げた今、主要なテクニカル指標は過去の事例に照らして極端な数値に近づいているとヤルデニ氏は指摘する。S&P500種は200日移動平均線を最大13%上回って取引されており、これは過去の経験則上、相場上昇が行き過ぎていることを示す幅だという。
一方で、ナスダック100指数も長期的なサポート水準を17%上回っており、これは24年7月以来の水準に近い。その後、8月には円キャリートレードの巻き戻しによる市場の混乱が広がり、株式は大きく売られた。
もちろん、株価が大幅下落に見舞われる前に、楽観的な投資家心理が数週間から数カ月にわたり続くこともあると著名な強気派の1人、ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズの調査責任者、トム・リー氏は話す。11月が株式市場にとって好調な月であるという実績を踏まえ、押し目があれば買いを入れているという。
「10月の大幅な上昇を消化する過程で、ある程度の下げはあっても不思議ではないが、11月は上昇月になるとみている」とリー氏は31日の顧客向けリポートで説明。これこそ「最も嫌われたラリー」だとコメントした。
S&P500種は年初来で約16%上昇している。センチメントトレーダーのシニア調査アナリスト、ジェイ・ケーペル氏が1920年代までさかのぼってまとめたデータによれば、過去の傾向として、年初から10カ月間で10%強上昇した年は、その後の株式リターンにも好影響を及ぼすことが多いという。
具体的には11月と12月の2カ月間でS&P500種は中央値で4.2%の上昇を記録している。一方で、最悪のケースは1938年の11月と12月で、3.8%の下落となった。
ヤルデニ氏は「現金があるなら、押し目買いを入れるべきだ」と述べる一方、「大幅な下落を予想して売りに出るような駆け引きはすべきではない。株式相場が10%を超える大きな調整に見舞われるような展開は、当面は見込まれない」と語った。
原題:Yardeni Warns ‘Too Many Bulls’ Put Stocks on Cusp of a Pullback(抜粋)
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