(ブルームバーグ):米アルファベット傘下グーグルの人工知能(AI)研究部門「Google DeepMind」のデミス・ハサビス最高経営責任者(CEO)は20日、中国のAI企業について、最先端技術を超える革新を実現できておらず、主要な西側研究所のフロンティアAIに対して約6カ月遅れていると述べた。
ハサビス氏はスイス・ダボスで開催されている世界経済フォーラム(WEF)年次総会でブルームバーグのインタビューに答え、中国のスタートアップ、ディープシーク(DeepSeek)が1年前にAIモデル「R1」を発表した際の反応は「大きな過剰反応だった」と指摘した。
その上で、「彼らはフロンティアがあるところに追いつく点では非常に優れており、その能力も高まっている。しかし、フロンティアを超えた革新ができることはまだ示していないと考える」と話した。ディープシークのモデルが「印象的だった」ことは認めた。
ディープシークは米シリコンバレーの競合他社よりはるかに低いコストで開発されたR1推論モデルを公開し、業界に衝撃を与えた。米国はAIの開発・運用に不可欠な最先端半導体へのアクセスを制限しており、中国のAI企業は厳しい制約下で事業を展開している。こうした規制により、研究者は非従来型の手法やアーキテクチャーを追求せざるを得なくなっている。

一方で、トランプ米大統領は中国向け先端AIチップの輸出禁止の緩和に動いており、中国のAI開発を阻んできた障壁の一部は取り除かれる見通しだ。米国の技術を使って中国政府や中国軍がAIを構築するのを防ぐことを目的とした政策からの大きな転換となる。
この動きは米半導体大手エヌビディアにとっては追い風だ。同社はAI向けプロセッサー「H200」の禁輸が続けば、中国は国内代替技術の開発を進めると主張してきた。
ただ、最先端AIプロセッサーの販売は、国家安全保障上の理由から引き続き禁止される。それでもトランプ政権の判断には異論がある。Google DeepMindの競合アンソロピックのダリオ・アモデイCEOは20日にダボスで、「エヌビディアのチップを中国に出荷するのは、北朝鮮に核兵器を売るようなものだ」と語った。
Google DeepMindは、グーグルのAIアシスタント「Gemini(ジェミニ)」の開発にも貢献している。GeminiはGmail、検索、YouTube、フォトなど他のグーグル製品からの膨大なデータを活用し、一段とパーソナライズされた製品を提供する。
Google DeepMindはロボティクスにも取り組んでおり、物理世界との相互作用という一層複雑な課題を伴う次のAIの進化として注目が高まっている。ハサビス氏はフィジカル・インテリジェンス(physical intelligence)におけるブレークスルーの瞬間が近いと見込んでいる。
「人間の手の信頼性、強さ、器用さに匹敵するのは非常に難しい」とも、ハサビス氏は語った。
原題:DeepMind CEO Says Chinese AI Firms Are 6 Months Behind the West(抜粋)
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