(ブルームバーグ):高市早苗首相は4日、危機管理投資を柱とした経済対策を協議する「日本成長戦略本部」と、外国人の受け入れに関する関係閣僚会議の初会合を開いた。新内閣の看板政策が具体化に向けて本格始動する。
高市首相は全閣僚がそろった成長戦略本部で、「日本の供給構造を抜本的に強化し、強い経済を実現するための成長戦略を強力に推進する」とあいさつ。来夏に成長戦略を策定する方針を示した。また、城内実経済財政相に経済対策に盛り込むべき重点項目の取りまとめを指示した。
岸田文雄、石破茂両政権下で設置されていた「新しい資本主義実現会議」を廃止し、同本部を新設した。「資産運用立国」や賃上げに向けた取り組みは引き継ぎながら、高市氏が重視する「危機管理投資」を中心とした成長戦略を打ち出す。
従来16人だった有識者は12人とし、筒井義信経団連会長や芳野友子連合会長をはじめ、新たにクレディ・アグリコル証券の会田卓司チーフエコノミストや、元日銀審議委員であるPwCコンサルティングの片岡剛士チーフエコノミストが起用された。
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責任ある積極財政を掲げる高市氏は、安全保障リスクに対して官民が先行的な投資を行う「危機管理投資」を成長戦略の肝と位置づけている。所信表明演説では人工知能(AI)・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙、サイバーセキュリティーを戦略分野として挙げ、積極投資を引き出す支援策を講ずる考えを示していた。
4日の初会合では17の戦略分野それぞれに担当相を指名し、複数年度の予算措置を伴う供給力強化策の策定を指示した。需要拡大に向けては、防衛調達など官公庁による調達や規制改革などを検討する。
各分野の担当相はこうした措置を通じて実現される投資内容やその時期、目標額などを含めた官民投資ロードマップを策定し、成長率に与える影響見込みなどを示す。
技術、人材育成、スタートアップ、金融など分野横断的な課題の解決策を策定する担当相も指名した。
外国人政策
同日、外国人政策に関する関係閣僚会議の初会合も開かれた。高市首相は外国人による既存ルールの順守や制度適正化に加え、国土の適正利用への取り組みを指示。基本的な考え方の方向性を来年1月をめどに示すと発言した。新設した外国人共生担当を務める小野田紀美経済安全保障担当相を中心に、関連政策の見直しを進める。
自民・維新連立合意書には外国人の受け入れに関する数値目標や基本方針を明記した「人口戦略」を2026年度中に策定することなどが盛り込まれている。
(戦略分野に関する詳細を追加しました)
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