(ブルームバーグ):財務省が2日に実施した新発10年国債の入札は、最低落札価格が事前の市場予想を下回った。投資家需要の強弱を反映する応札倍率も前回から低下し、市場関係者の間から弱めの結果だったとの声が出ている。
日本銀行が今月の金融政策決定会合で利上げに踏み切るとの見方が出ており、投資家は応札に慎重だった。入札結果によると、応札倍率は3.34倍と前回の3.92倍を下回り、最低落札価格は100円36銭と市場予想の100円49銭に届かなかった。大きいと需要が低調なことを示すテール(平均落札価格と最低落札価格の差)は19銭と前回(6銭)を上回った。
米長期金利の低下を受けて上昇していた長期国債先物12月物は入札結果の発表後、下落に転じた。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、入札は弱めの結果だったと語る。「日銀の利上げが意識されたことに加え、あすの植田総裁の講演や週末の自民党総裁選に対する警戒感が重しになった」と指摘。当面は金利上昇圧力が続くとの見方を示した。

今後の財政・経済政策を左右する自民党総裁選を控え、日銀による利上げ観測がくすぶる中、市場では10年国債入札への不安感が漂っていた。
新発10年国債利回りは9月22日に1.665%と08年以来の高水準を付けた。9月の金融政策決定会合で現状維持に2人が反対したことに加え、利上げに慎重と見られていた野口旭審議委員が一転して利上げに前向きな姿勢を示したこともあり、今月の利上げ予想が高まっていた。
日銀が1日発表した企業短期経済観測調査(短観)はほぼ予想通りの結果となった。市場では内田真一副総裁が2日、植田和男総裁が3日に予定されている講演で、短観をどのように評価し、今月の利上げに向けてどのようなメッセージを発するかに注目が集まっている。スワップ市場が織り込む利上げ確率は6割弱となっている。
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