(ブルームバーグ):上場後のソニーフィナンシャルグループ株がさえない。直近3日間の下落率は14%と東証株価指数(TOPIX)の1%より大きく、上場時の流通参考値段だった150円を下回って推移する。市場関係者の間では、競合他社と比べ配当利回りに課題があるとの見方が広がっている。

ソニーFG株は9月29日の上場以降、下落基調が続いており、2日は一時前日比8%安の146.6円まで売られた。東証33業種の保険業指数の0.9%安をしのぐ日中下落率だ。
ソニーFGは新株発行や公募、売り出しを伴わない直接上場(ダイレクトリスティング)で上場。親会社のソニーグループが「パーシャルスピンオフ」という制度を利用し、20%未満の株式を継続保有しつつ、残るソニーFG株を株主に分配した。初値は参考値段を37%上回る205円だった。
アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、上場時のソニーFGの参考値段について「業界のバリュエーションを踏まえたレンジを意識して決めた部分もある」と推測。株価が同値段を下回ったことは、保険セクター内での市場評価が劣後していることを示唆するものだと言う。
三井氏によると、保険セクターは配当利回りを見ながら投資している人が多く、「ソニーFGは他社と比べやや低い」と指摘した。ブルームバーグのデータでは、ソニーFGの12カ月先配当利回り予想は2.33%となっており、東京海上ホールディングスの3.4%や第一生命ホールディングスの4.5%に届かない。

ソニーGのスピンオフに伴う上場だったことも、足元のソニーFG株が軟調に推移する一因とみられている。三井氏は「エンタメ事業などに期待するソニーGの既存株主からの売りが出ている」との認識を示す。
また、ソニーFGは上場日の29日に日経平均株価の算出対象となり、翌30日に除外されたため、29日終値段階で指数に連動するパッシブファンドなどから機械的な売り需要もあった。大和証券の試算では、発行済み株式の1.7%に相当する1億2500万株の売りが発生したもよう。ただ、アイザワ証の三井氏は、インデックス関連の売りはほぼ一巡しているだろうと言う。
三菱UFJeスマート証券の山田勉マーケットアナリストも、足元のさえない値動きで「見切り売りが広がっている」と指摘した上で、「今後の決算次第では再評価余地はある」と話した。
大和証など証券会社3社のアナリストがソニーFGの調査を開始し、目標株価の平均は180円となっている。ソニーFGは上場日に1000億円を上限とする自社株買いを発表。2日に実施した約91億円分も含め、これまでに合計約208億円を買い付けた。
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