(ブルームバーグ):米電気自動車(EV)メーカー、テスラは7-9月(第3四半期)に販売減少のペースが緩む見通しで、業績低迷が長引く中で投資家に一定の安心感を与えるとみられている。
ブルームバーグがまとめたアナリスト予想によると、7-9月期の世界販売台数は約43万9600台となる見通し。前年同期比では約5%減と、3四半期連続の減少となるものの、2025年前半の13%減と比べれば改善が見込まれる。

テスラは製品ラインアップの刷新の遅れや米政府のEV支援策打ち切りに加え、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の政治姿勢に対する消費者の反発で中核事業が苦戦する中、立て直しを図っている。マスク氏は最近、トランプ政権から距離を置く姿勢を示しているが、分断を招きかねないテーマについて発言を続けている。
ザックス・インベストメント・リサーチの株式ストラテジスト、アンドリュー・ロッコ氏は7-9月期の販売実績について、「テスラにとって今後を占う重要なものになる。少なくとも従来型の事業が安定していることが示される可能性がある」と語った。
テスラは販売低迷から投資家の関心をそらすかのように、最近立ち上げた自動運転タクシー事業や人工知能(AI)、ロボティクスの開発に重点を置いてきた。また、成長目標を達成すれば最大1兆ドル(約147兆円)に上る可能性のある、マスク氏への異例の新報酬パッケージについて、株主の支持を求めている。
ウォール街はおおむね好意的に受け止めており、この数日で複数のアナリストが目標株価や販売予想を引き上げた。テスラ株は9月に33%上昇して年初来の下げを埋め、月間ベースで今年最高の上昇率となった。
米国では、EV購入に対する7500ドルの税額控除が9月30日に終了するのを前にした駆け込み需要が、販売を一時的に押し上げた。
コックス・オートモーティブのチーフエコノミスト、チャーリー・チェズブロー氏は記者団との電話会議で、「テスラは今夏のEV駆け込み需要で大きな恩恵を受けた可能性が高い」と指摘。ただ、7-9月期全体としては「まちまちな内容」となる可能性があると述べ、年末にかけてテスラはさらに市場シェアを失うと予想した。
マスク氏はすでに、米政府のEV政策変更で「今後数四半期は厳しい局面」が続くと警告している。トランプ政権は税額控除の廃止に加え、燃費や排ガス規制の撤廃にも動いており、テスラを長年支えてきた規制クレジット収入も途絶える見通しだ。

原題:Tesla’s Less-Bad Quarter Offers Reprieve in Midst of Sales Slump(抜粋)
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