先行きは鈍化を予想も、食料品価格に不透明感
本日の東京都区部の結果を踏まえると、10月24日に公表される25年9月の全国CPIコアは前年比+3.0%程度と、8月の+2.7%から上昇率が拡大することが予想される。
微妙なところではあるが、再び+3%台に乗せる可能性があるだろう。保育所保険料については東京都独自の政策であるため全国ベースでは影響は限定的だろう。
一方、電気・ガス代による押し上げ(前年の裏)がCPIコアの上昇率拡大に寄与する見込みである。
その先については、CPIコアの上昇率は再び鈍化に向かうと予想している。
エネルギー価格の攪乱で基調が掴みにくいが、基本的には食料品、特にコメにおいて昨年の上昇率が極めて高かったことの裏が出ることで、食料品価格の上昇率が鈍化することが下押し要因となる。
このように、CPIが年末にかけて鈍化すること自体は規定路線なのだが、その鈍化ペースについては不透明感があることに注意が必要だ。
食料品価格については強い動きが続いており、今後の食料品値上げ計画も高水準である。企業の値上げ意欲は引き続き旺盛だ。
コメ価格の動向次第の面はあるが、食料品価格の鈍化ペースが以前想定していたよりも緩やかなものになる可能性は残る。
また、足元ではまだサービス価格の上昇率が上振れる状況には至っていないが、人件費増等を理由に今後値上げが増えてくる可能性も否定できないだろう。
ガソリンの旧暫定税率が実際に廃止されるかどうかといったことにも左右されるが、全国ベースのCPIコアが+2%を割り込むタイミングが、26年春頃まで後ずれすることも十分考えられる状況である。
※情報提供、記事執筆:第一生命経済研究所 経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト 新家 義貴