コンセンサス下振れも、第1子保育料無償化の影響が大きい

本日総務省から発表された25年9月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品除く)は前年比+2.5%と、前月と同じ伸びとなった。

市場予想の+2.8%を大きく下回っているが、これは保育所保育料が大幅に下落したことでほぼ説明が可能である(前年比寄与度:▲0.32%Pt)。

9月から東京都が独自で0~2歳の第1子保育料を所得制限なしで無償化したことの影響が大きい(これまでは3~5歳は全員、0~2歳は住民税非課税世帯や第2子以降に限り無償)。

筆者を含め、この影響を事前に織り込み切れていなかったことがコンセンサス下振れの要因である。なお、この影響を除けば9月のCPIコアは前年比+2.8%となり、事前予想と一致する。

コンセンサスからは大きく下振れたものの、物価の基調に大きな変化はないと言って良い。また、この政策は東京都独自のものであるため、9月分の全国CPIでは影響は限定的なものにとどまると思われる。

日本銀行が今回の事前予想下振れを問題視することはないだろう。今月の結果が年内利上げを妨げるものではない。

なお、前述のとおり第1子保育料無償化の影響を除けばCPIコアは前年比+2.8%と、前月の+2.5%から上昇率が拡大しているが、これは電気・ガス代の上昇によるものである(電気・都市ガス代の前年比寄与度:8月▲0.31%Pt → 9月+0.13%Pt)。

政府の電気・ガス代補助金により昨年9月~11月分のCPIが押し下げられていたことの裏が出た形である。実施のタイミングが昨年(9月~11月分で反映)と今年(8月~10月分で反映)でズレていることに加え、補助額は昨年の方が大きいことが影響している。

エネルギー以外のコアコア部分については、日銀版コア(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)が前年比+2.5%(8月:+3.0%)、米国型コア(食料及びエネルギー除く総合)が前年比+1.0%(8月:+1.5%)とそれぞれ大きく鈍化したが、これも第1子保育料無償化の影響が大きい。

保育所保育料を除いたものを計算すると、日銀版コアが前年比+2.9%、米国型コアが前年比+1.5%となる。物価の基調に大きな変化はみられていないと言って良いだろう。