食料品価格が前年比でピークアウト
電気・ガス代はプラスに転じ、CPIの大きな押し上げ要因となった(前年比寄与度:8月▲0.31%Pt → 9月+0.13%Pt)。
政府による電気・ガス代補助について、25年8月分から補助が開始(昨年8月はまだ実施せず)されたことで大きな下押し要因となっていたが、9月分では、昨年9月に補助が開始されたことの裏が出ることで押し上げられている。
なお、今年9月と昨年9月はどちらも補助が実施されているが、補助額は昨年の方が大きいことから、前年比ではプラスとなっている。
このように、電気・ガス代補助金は昨年と今年で実施時期や補助額のズレがある(CPIへの反映時期:昨年:9月~11月、今年:8月~10月)ため、前年比で見た動きは複雑になる。
この先11月分では、昨年は実施、今年は終了となることから上振れ(前年の裏)、12月分では昨年、今年とも実施していないためニュートラル(11月の上振れ分が剥落)に戻るといった形で振れが大きくなることに注意しておきたい。
ガソリン、灯油価格は前月からほぼ変わらず(石油製品の前年比寄与度:8月+0.01%Pt → 9月+0.01%Pt)。
なお、現在議論されているガソリン暫定税率廃止については、実施された場合にはCPIコアを▲0.2%Pt程度押し下げることになる(補助金も終了するケース)。
9月の食料品(生鮮除く)は前年比+6.9%(前年比寄与度:+1.66%Pt)と前月の+7.4%(同寄与度:+1.76%Pt)から鈍化した。
引き続き非常に高い伸びだが、前年比でみればピークアウト感が出ている。
コメ以外の食料品は8月、9月とも前年比+5.8%と高止まりしているが、コメ価格が大幅に鈍化(8月前年比+67.9% → 9月+46.8%)したことが響いた。
コメ価格は水準でもやや切り下がっていることに加え、前年の急上昇の裏が出ている面も大きい。
先行きについては、前年の急上昇の裏が出やすくなることもあり、コメ価格の前年比でのプラス寄与は明確な縮小に向かうだろう。
仮にコメの価格水準自体が下がらなかったとしても、前年比での伸び鈍化は間違いないところだ。コメ類による押し上げ寄与は大きいだけに、ここが鈍化すれば影響は大だ。
一方、コメ以外の食料品については不透明感が強い。食品企業は現時点で積極的な価格引き上げ姿勢を崩しておらず、そう簡単に値上げを休止するとはいきそうにない。
食料品価格は前年の裏要因を主因として先行き鈍化傾向に転じることがほぼ確実だが、鈍化のペースについてはまだはっきりしたことは言えない。
エネルギー以外のコアコア部分については、前述のとおり、第1子保育料無償化政策の影響を除けば前月から大きな変化はなかった。
日銀版コアは食料品価格鈍化の影響でやや伸びが縮小。米国型コアは大きな変化なしといった状況である。
日銀版コアは食料品価格鈍化によりこの先緩やかな鈍化に向かうだろう。一方、米国型コアについては現時点で方向感に欠け、先が読みにくい。
輸入価格下落の影響がこの先波及してくる可能性がある一方で、人件費増等の影響でサービス価格が伸びを高める可能性もあり、まだはっきりしたことは言えない状況である。