欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は3日、銀行規制の水準を引き下げることに警鐘を鳴らし、むしろノンバンクへの監督強化が必要だと主張した。

同総裁は訪問先のアムステルダムで、世界金融危機以降、監督を強化してきたが、今は金融機関に課しているルールを検証し、一部を簡素化できるかどうか見直す時期だと述べた。ノンバンクの台頭は不公平な競争条件を生みかねない現象だとして、対応の緊急性が増しているとみている。

ラガルド氏(3日)

「政策当局はこの厳しい環境に対応するため、規制と監督を適応させることが不可欠だ」と述べ、「銀行を対象とした基準を引き下げるのではなく、銀行に似た活動に関与する、あるいは銀行セクターと強い結び付きを持つノンバンクに対して基準を引き上げるべきだ」と語った。

米英では、当局が一部の銀行規制の見直しに動いている。欧州当局も2008年の金融危機後に導入された一連の規制を合理化し、ユーロ圏の銀行が競合に対して不利にならないようにすることを目指している。

クノット・オランダ中銀前総裁の退任記念シンポジウムに出席したラガルド総裁は、「政策当局は規制疲れに屈せず」、銀行に類似するノンバンクに対して「より強力なグローバルルールを拡大適用する取り組みを強化することが不可欠だ」と語った。

同総裁はまた、フィンランドの放送局MTVとのインタビュー(3日放送)で、ユーロ圏のインフレ率がおおむね安定していることを踏まえ、現行の政策運営に満足しているとの認識を示した。

ラガルド総裁は「良い状況にあり、この状況を維持し続けることが必要だ」と述べた上で、あらためて「あらかじめ決められたペースはない」と説明した。

同総裁は「インフレに関して上下の大きな動きは予想していない」とし、「目標達成に向け必要な対応を取る必要がある」が「すでに多くを行っている」と語った。

原題:ECB’s Lagarde Calls for Non-Banks to Face Tougher Scrutiny (1)、Lagarde Says ECB Has Done a Lot on Rates, Is in ‘Good Place’(抜粋)

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