ロシア政府は、石油・ガス業界からの今年の税収が大きく落ち込み、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)があった2020年以降で最低の水準になるとみている。燃料価格の下落とルーブル高が響いている。

ロシア議会のウェブサイトに29日公表された今年の予算修正案によると、石油・ガス業界からの税収は約8兆6500億ルーブル(約15兆5000億円)と、前年の水準を約22%下回る見込み。

ロシアにとって石油・ガス業界からの税収は極めて重要で、今年の歳入全体の約4分の1を占めると見込まれていた。ウクライナ侵攻を続けるロシアは軍事支出の増加を継続する計画で、戦費を賄おうと付加価値税(VAT)の引き上げと借り入れ増加を予定している。

西側諸国やその同盟国はロシアのエネルギー収入を一段と圧迫しようと、広範囲にわたる制裁措置をこれまでに導入。最近はトランプ米大統領がトルコを含む北大西洋条約機構(NATO)に対し、ロシア産原油の購入を完全に停止するよう働き掛けている。

ロシアの代表的な油種であるウラル原油の今年の平均価格は58ドルの見通し。前年は66.60ドルだった。この価格下落は世界的な経済成長懸念による原油相場の軟化が主な要因だという。

また、国際的な原油指標であるブレント原油に対するウラル原油のディスカウントは平均12ドルとみている。ウクライナ侵攻初期に比べるとディスカウントは縮小しているが、侵攻以前には2-4ドルだったことを踏まえると、依然としてディスカウントは大きい。

原題:Russia Faces Wartime Budget Hit as Oil, Gas Revenue to Slide(抜粋)

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