9月は米国株のパフォーマンスが振るわない傾向があるものの、新規株式公開(IPO)市場の熱気を逃すまいと動きを急ぐ企業が出てきている。

来週にはデジタル決済大手クラーナ・グループや、ウィンクルボス兄弟が率いる暗号資産(仮想通貨)交換大手ジェミニ・スペース・ステーションなど5社がIPO価格を決定する予定だ。ブルームバーグの集計データによれば、5社が仮条件レンジの上限でIPO価格を決定しIPO規模が計30億ドル(約4460億円)強となった場合、来週は週間ベースの米IPO規模で今年最大になる。

9月は投資家が夏季休暇を終えて市場に戻ることから、ホリデーシーズン前に上場を目指す企業にとってIPOの好機となる。また株式資本市場(ECM)のバンカーにとっては、年間の賞与の額を左右する勝負の時期でもある。

 

今年上場したフィグマやサークル・インターネット・グループ、コアウィーブの株価がいずれも2倍を超える伸びを示したことが投資家に次のIPOへの期待を抱かせ、逆風を押しのけるほどの熱気を生んでいる。

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米州最高投資責任者(CIO)、ウルリケ・ホフマン・ブチャディ氏は2日のリポートで、過去10年間の米株式市場では9月が最もパフォーマンスが悪い月であり、平均で2%下落していると指摘。ただ今年については、企業収益の堅調な伸びや米金融当局が9月に利下げに踏み切るとの観測に加え、人工知能(AI)などのトレンドへの期待を踏まえれば恐れる必要はないと説明した。

IPOブティックのシニア調査アナリスト、ジェフ・ゼル氏は「9月は技術革新と消費者向けの案件のバランスが良く、今年で最も活発な時期の一つになりつつある」とし、「市場環境が維持されれば、2025年のIPO市場は好調なまま終えられるだろう」と語った。

デジタル決済大手クラーナ・グループなどがIPO実施目指す

原題:Bankers Prep for the Busiest Week of the Year in US IPO Rush(抜粋)

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