(ブルームバーグ):韓国の個人投資家は、米電気自動車(EV)メーカーのテスラに対する失望感が強まる中で同社株への信頼を失い、先月売りを加速させた。その代わりに暗号資産(仮想通貨)への関心を高めている。
証券保管機関のデータに基づき、ブルームバーグが算出したところによると、韓国の個人投資家は8月にテスラ株を6億5700万ドル(約970億円)相当売り越した。月間の売越額としては、少なくとも2019年初頭以来の大きさとなった。
その一方で、イーサリアムを大量保有するビットマイン・イマージョン・テクノロジーズなど、テスラ以上に値動きの激しい銘柄が選好されている。イーサリアムの代替的な投資先と見なされるビットマイン株は2億5300万ドルの買い越しとなった。
テスラ株の売越額はこの4カ月間で計18億ドルに達した。同社株の個人投資家層の中で韓国の投資家は世界でも有数の忠実さで知られ、株価上昇を後押ししてきたが、そうした熱が冷めつつあることが示された。
韓国の個人投資家は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時にテスラをはじめとする米主要ハイテク銘柄に引きつけられたが、現在は他の投資先を探るようになっている。
「テスラは以前、多くの魅力的な将来像を打ち出していたが、いまや人々の心をつかめなくなっている」と33歳の個人投資家ハン・チョンス氏は話す。同氏は2019年に初めてテスラ株を購入したが、今年に入って、より成長余地があるとみる銘柄に資金を振り向けるために売却した。テスラは「AI(人工知能)を巡る独自のビジョンで市場をリードできなかった」と指摘する。

ブルームバーグの算出データによると、それでも韓国の個人投資家が保有するテスラ株は約219億ドル相当と、外国銘柄でトップを維持しており、2位のエヌビディア、3位のパランティア・テクノロジーズを依然として大きく引き離している。
テスラ株に2倍のレバレッジで連動する上場投資信託(ETF)「TSLL」も8月は5億5400万ドルの流出と、月間ベースで少なくとも24年初頭以降で最大の資金引き揚げとなった。
原題:Tesla Sees Korean Retail Exodus as Investors Turn to Crypto (1)(抜粋)
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